技あり味なカンパニー:創コーポレーション 新徒弟制度「恵比寿アカデミー」

外食 ニュース 2019.08.19 11926号 02面
大津慶一社長

大津慶一社長

従来の徒弟制度のネガティブな部分を刷新した新徒弟制度「恵比寿アカデミー」

従来の徒弟制度のネガティブな部分を刷新した新徒弟制度「恵比寿アカデミー」

●改革で徒弟制度復活へ

創コーポレーションは、恵比寿を中心に国内26店舗、ニューヨーク・マンハッタンに2店舖を展開。「2020年12月31日までに業界一就職したい企業にする」というミッションを掲げている。このミッション完遂のための取組みが、同社が運営する「恵比寿アカデミー」だ。

「恵比寿アカデミー」は、日本の食文化を守る新たな働き方改革として、時代にマッチした徒弟制度を取り入れた料理人育成機関。大津慶一社長は、「私の実家は寿司屋だった。私自身徒弟制度的な環境を見ながら育った。厳しかったが、余暇は楽しく、同じ釜の飯を食べていたという印象だ。そして徒弟制度が日本をモノづくりの国にした。今では徒弟制度は耐え忍ぶといった、ネガティブで時代に合わないと思われている。ネガティブな部分を改革すれば、徒弟制度は復活する」と語った。

同アカデミーでは、技量・人格を備えた親方の下で技術を習得する場を提供し、ワークライフバランスを考慮した待遇・福利厚生、そして一流料理人を志す生涯にわたる同士ができるという新たな徒弟制度だ。現在4期生まで12人が学んでいる。5年間の技能訓練の後、独立して創コーポレーションの店舗を担う人材として活躍の場を提供する計画だ。

同アカデミーの修業店舗は「鮨邸 田」「温故知新」「八寸」の日本料理と「Trattoria L’astro」のトラットリアの4店舗。年内には中華のアカデミー店をオープンする予定だ。

●「外食観光地」化を目指す

大津社長には大きな志がある。それは「恵比寿サン・セバスチャン化」構想だ。サン・セバスチャンはスペイン北部に位置する人口18万人の小さな街で、バスク料理と美食(ガストロミー)文化や人口に対してのミシュラン星付きレストランが一番多い街としても知られ、世界中から人が集まる観光地となっている。

実際に同地に訪れた大津社長は「心躍るようなおいしさと楽しさ」の感動を体感し、恵比寿に再現したいと意欲を燃やす。まずは自社で恵比寿に20店舗を展開、近隣の店舗とも協力し、小規模でおいしいレストランを集積し、「外食ならとりあえず恵比寿に」といわれるほどのブランド力を付け、「恵比寿の外食観光化」を目指す。

同社の店舗展開もヒット業態を増やすのではなく、客単価3000円から2万円までの幅広い業態を展開する計画だ。「企業としては非効率的な運営になる。だが、料理人のやりがいを考えて、業態などを考えたい」と大津社長。その大きな志の礎となる第一歩が新徒弟制度「恵比寿アカデミー」だ。(金原基道)

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