食べ物の単位と漢字9 bit ビット 【PR】
チキン オア フィッシュ?
「チキン オア フィッシュ?」……①
国際線の飛行機に乗ると、本当にこんなふうに尋ねられるのだろうか? 海外に出かけることがないので、よく知らない。
「店内でご飲食ですか? お持ち帰りですか?」……②
この質問なら、よく出くわす。最近では、「for here(店内)」と「to go(持ち帰り)」で消費税率が異なるようだから、なおさらしっかりと尋ねられる。
①と②の2つの例をあげた。実は、これが 1 ビットだ。
「ビット」とは情報量を表すときに使われる最小単位で、単位記号は[bit]、あるいは、[b]である。
「情報量」というのは、なかなかイメージしづらい。1 bit を理解するには、電気のスイッチを思い浮かべるとよい。スイッチが 1 つあれば、オフかオンかの2つの状態を切り替えることができる。これが、1ビットだ。オフを 0 、オンを 1 とすれば、1 つのスイッチを使って、0 か 1 かを表現できるということだ。
スイッチが 2 つあれば、2 ビットだ。これだと、「00、01、10、11」の 4 通りの状態を表せる。1 ビットよりはすこしだけ情報量が増える。だから、こんなこともできる。
今晩のラーメン、何にする? 次から選んで!
00:醤油 01:味噌 10:塩 11:豚骨
スイッチが 3 個あれば 3 ビット。この場合は、「000、001、010、011、100、101、110、111」の8通りの状態を表現できる。
気づいた方もいらっしゃるだろう、こういうのは、二進数の考え方だ。実際のところ、ビット[bit]とは、英語のbinary digit(二進数字)の略である。しかし、まあ、3 ビット程度では、複雑なことは表せない。
複雑なことは表せないが……、
「あの子(0)なの? 私(1)なの? はっきりして!」
という選択なら、1 ビットだ。
私の経験上、人生の大きな選択は、たいてい 1 ビットである。
星田 直彦(ほしだ・ただひこ)
1962年、大阪府生まれ。奈良教育大学大学院修了。中学校の数学教師を経て、現在、桐蔭横浜大学 准教授。実生活や歴史の話題を多く取り入れた数学の講義は好評である。幅広い雑学知識を生かして、「身近な疑問研究家」としても活躍。
おもな著書に、『単位171の新知識』(講談社ブルーバックス)、『図解 よくわかる単位の事典』(KADOKAWA)、『楽しくわかる数学の基礎』( SBクリエイティブ サイエンス・アイ新書)など多数。
ホームページ:「星田直彦の雑学のすゝめ」
ブログ:「雑学のソムリエ」
「a bit of ○○」が「少しの○○、わずかな○○」を意味するように、bitという英単語には、もともと、少しの量、小片という意味がある。さらに、bitという単語は、かむ、ひとかじりを意味するbiteから派生したものとされる。小さな粒であるごまも、健康でおいしい食の基本単位として、毎日の食卓に欠かさないようにしたいものだ。
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