「離創協」が発足 離島と流通のバリューチェーン、豊かな「食の列島」目指す
離島で食品産業・生産を育成し、流通・消費にまで結ぶバリューチェーン作りを目指した「一般社団法人離島振興地方創生協会(離創協)」が13日に設立される。
少子高齢化、人口減少がわが国の社会、経済の構造的変化をもたらす中で、とりわけ有人国境離島地域における島内産業の疲弊と人口減少の悪循環は国家的課題であり、17年には「有人国境離島法」が制定されている。この地方経済活性化の力になりたいと、阪急オアシス元会長の千野和利氏が起案、食品企業、流通企業の協力を得て「離創協」を設立した。
地方活性化の柱となるのがその地での食品産業の育成と、そのための基盤整備や住民の生活環境整備だが、有人離島で農水産、食品生産事業をその地域に準じて立ち上げ、整備を進めていく。既に各離島ではその地固有、伝統の生産事業も存在しており、1次産業の生産性向上、6次産業の振興、バリューチェーンを構築し、高付加価値商品のブランド化を、日本の離島であちこちから生み出して離島振興と地方創生で、豊かで世界最高峰の「食の列島」をつくっていくことを目指している。
そのため協会は食品企業、流通企業などを会員として、離島での生産や市場への販売、事業者の育成、離島への企業、学校の誘致、情報を含めて協働で展開することになっている。
特定有人国境離島は長崎、北海道、鹿児島、東京を含め8都道県、15地域、71島あるが、一番多いのがこのうち56%を占める長崎県。20年は長崎県からスタートして、3~4年で8地区へと拡大していく計画だ。
事務所は東京・四谷に開設。理事長は千野氏、理事にはいなげや前会長遠藤正敏氏、味の素冷凍食品元社長進藤大二氏、三菱食品元会長中野勘治氏、日本アクセス元会長吉野芳夫氏ほか、業界の重鎮が顏を揃えている。今後は地域、会員企業を増加させていく。問い合わせ先はinfo@risokyo.org。電話03・5713・1012。
千野理事長は「長崎県のシニアアドバイザーとして対馬、壱岐、五島へ幾たびか訪れ、小売業を経験した私が今できることは何かを考えた時、限りある国土、限りある生産物をいかに有効に生産し、付加価値を高めるための加工をし、エリア別、商品別に最適なバリューチェーンを作り上げることだと感じた。そのためには長期的、かつ組織的な取組みが不可欠と考えて社団を立ち上げた。新型コロナウイルス感染症による厳しい状況下の中、会員も着実に増え続けている。地方創生はそれほど簡単ではないと思っているが、小さな成功を積み上げていくことが大切と考えている。同じ志を持つ方々が集まりより大きな展開にしていきたい。皆さんのご支援をいただければ幸いだ」とした。(大居政光)