飲食トレンド 専門店 単品食材のスペシャリスト、極めつくしてこそ贅

1995.11.20 89号 1面

一つの食材に絞り込み、メニューバリエーションを広げている専門店が注目されている。かつて食材の乏しかった時代には、ごく当たり前に豆腐、鳥肉、馬肉、クジラ、イワシ、マグロなど比較的安定供給される食材で、大衆的飲食店として広まって来た。今、さまざまな食材が国内外から年間を通して豊富に安定供給され、しかも価格も安定してきている。こうした背景から、従来の専門店に加え、新手の専門店が登場、単品でのメニュー展開をするが、メニュー開発の苦しさからセットメニューを拡充し、新しいニーズを取り込もうとする動きもある。競合店の参入、ボーダレスレストランが増える今こそ、逆に的を絞った目玉商品で勝負しようとする動きも活発化しそうだ。

高級品だった卵が大衆食品となり、今や季節に関係なく安定供給される。原価安、そしてさまざまにメニューバリエーションが広げられる食材だけに、これを専門店化しない手はない。

もともと同系列のスパゲティ専門店で食材のノウハウを蓄積していたため、参入しやすかったオムレツ専門の「たまご屋さん」

原価の安い卵に付加価値をつけメニューを広げているが、メニュー開発には苦戦。サイドの充実でメーンを引きたてている。

「新しいニーズに対応」はさせているが、いずれは頭打ち状態も予想され「メーンのオムレツメニューの見直し」をしたいとする。

同じように、安定供給と原価安の魅力ある食材としてジャガ芋、カボチャを専門店化しているのが「ザ・バーン」。

オープン当初は、メーンに絞り込んだメニュー展開だったが、女性がターゲットだけにサイドメニューの需要が高まり、今ではサイドとの対比が逆転して半分以下。

あくまでもジャガ芋とカボチャをメーンに据えているが、トータルでメニュー開発に注力する。

スタッフ全員が定期的にレシピを提出し、ヒット商品には褒賞金が授与される。サイドを膨らませただけに、飽きやすい女性客のニーズをどう促え、メニュー化していくか注目されるところ。

本来のコンセプトが弱まりつつある二者に比べ、ウナギに絞った食材を、昼はFF、夜は居酒屋と業態を変えて展開しているのが「うな仙」。

中国からの開発輸入と、スケールメリットによるコストダウン化で、低価格メニューを昼、夜をコンセプトに合わせ提供している。

こうした低価格の魅力もCVSなどの低価格に押され気味。新しい付加価値をどうつけるのか気になるところ。

(2面に関連記事)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: メニュートレンド