新客層狙う御三家の婚礼動向 壮麗 光と音楽の聖宴
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婚礼をめぐる新しい動きは、老舗ホテルにも起きている。来年三五周年を迎えるホテルオークラ(東京都港区、Tel03・3582・0111)では、記念特別プランとして「The Wedding No.9」を打ち出す。
ベートーベンの交響曲第九番歓喜の歌をモチーフにした「ストーリー性をもたせた、同社初のトータルコンセプトプラン」(同社マーケティング部次長、宴会予約課清原富博課長)。
ホテル内のチャペルには、ニューヨーク五番街で最も歴史のある教会で特別録音したパイプオルガン、コーラスが流され、さらにNYシティオペラのプリマドンナが歌うアヴェマリアのBGMの流れる中で誓約書に署名するなど音楽と光の演出が駆使される。
さらに、披露宴は、タイトル名にあるように、ベートーベンの第九交響曲をモチーフにコーディネート。同プラン用に披露宴会場四室をリニューアル中。テーブル名もファンファーレ、といった名称がつけられている。
テーマカラーは淡いペパーミントグリーンで、メニューまで統一されている。料理にも、例えばオードブルにト音記号をあしらったソースをかけるなど、凝っている。料金は、一〇〇人で三五〇万円。発表と同時に大きく反響があったという。
婚礼件数は、前年対比で七~一〇%減の傾向が見られ、年間九〇〇件。
「今は最終決定者は親ではなく本人の時代に変わってきている。しかもブライダルは浮動票」(前出清原氏)と、伝統、格式だけではなく、今回のような時流に乗った方向性も打ち出して共存させ、新たな客層をつかんでいく考えだ。