メニュートレンド:鯖定食ではない! 焼き鯖が食べたいときのための店

2023.09.04 535号 24面
梅さばめし 980円(税込み) 「焼き鯖には最もおいしい」(泉谷代表)と、脂ののったノルウェー産の鯖の半身を使用。鯖に梅肉を添える提案も秀逸だ

梅さばめし 980円(税込み) 「焼き鯖には最もおいしい」(泉谷代表)と、脂ののったノルウェー産の鯖の半身を使用。鯖に梅肉を添える提案も秀逸だ

三つ葉、白ごま、カリカリ梅(「梅さばめし」以外は刻みワサビ)、真鯛のアラを2時間以上もかけて炊いただし汁、鮮魚のごま和えが添えられている

三つ葉、白ごま、カリカリ梅(「梅さばめし」以外は刻みワサビ)、真鯛のアラを2時間以上もかけて炊いただし汁、鮮魚のごま和えが添えられている

1日130~140枚の鯖半身を手作業で、小骨まで丁寧に取り除いている

1日130~140枚の鯖半身を手作業で、小骨まで丁寧に取り除いている

注文が入ってから鯖の半身を串に刺して焼き、焼きたてを提供

注文が入ってから鯖の半身を串に刺して焼き、焼きたてを提供

タレ鯖串 240円 酒のアテになる鯖の串焼きは、夜の時間帯のちょい飲み利用客に人気が高い

タレ鯖串 240円 酒のアテになる鯖の串焼きは、夜の時間帯のちょい飲み利用客に人気が高い

 「さばめしの鯖匠」は、2021年10月に開業。以前は、同エリアの別店舗で鯖料理をメインに提供する居酒屋を運営していた。その店舗で土鍋ご飯と魚のセットをランチ提供していた際、鯛、鯖、アナゴの中で鯖が一番人気だったことに加えて、同店の泉谷勇二代表取締役自身の「鯖が大好きなんですよ」という“鯖愛”から、鯖飯だけで展開する業態を立ち上げた。

 ●「ほぐして混ぜる」醍醐味

 ご飯+惣菜の和定食を提供する店舗というと多種類の料理を揃えている店が多い中、「鯖飯」のワンメニューで勝負というのは大胆な試みにも思えるが、同店を運営するダイニングデザインの泉谷代表によると「外食店はいっぱいあり、料理の選択肢もいろいろある。その一つとして『鯖が食べたい』というときに、選んでいただければいい」と、目的型来店を見据えた店だ。

 同店のメニューは、シンプルな「さばめし」、鯖に甘辛いタレを絡めて焼いた「タレさばめし」、塩ダレに絡めたネギをのせた「ネギさばめし」、梅肉をのせた「梅さばめし」の4種類を用意している(サイドメニューあり)。主役の焼き鯖にご飯、だし汁、鮮魚のごま和え、だし汁、各種薬味が並ぶ定食スタイルだが、ご飯の上に焼き鯖をのせた迫力ある盛り付けが強烈な魅力を放っている。その盛り付けも人気の大きな要因の一つだが、同店の鯖飯はただ盛り付けが個性的というだけではない。「うちの鯖飯は鯖定食ではありません」と泉谷代表が表現するように、ご飯に鯖を合わせて食べる定食セットとは一線を画す。「鯖の脂とご飯が混ざるおいしさをぜひ味わってほしい」と、しゃもじで鯖をほぐしながらご飯と混ぜて一体化させて食べるのがポイントで、混ぜて食べるのが前提のため、骨が口に当たらないよう手作業で丹念に骨を抜いているという。

 また、「鯖とご飯の一体化」をとことん追求し、白飯ではなく真鯛のだしと昆布で炊いたご飯を合わせているのも、泉谷代表のこだわりだ。店で推奨している食べ方は、まずはほぐした鯖とご飯を混ぜて。次に薬味とごまを加えて。3杯目はだしを注ぎ、刻みワサビ(またはカリカリ梅)をのせて茶漬けで。鮮魚のごま和えは、1杯無料の“追いめし用”に添えているそうで、「どこまでも鯖のおいしさだけでご飯を食べてほしい」という泉谷代表の鯖愛が垣間見える。

 鯖定食とはやはりひと味もふた味も違い、満足度はすこぶる高い。

 ●店舗情報

 「さばめしの鯖匠」

 経営=ダイニングデザイン/店舗所在地=東京都千代田区神田三崎町2-21-11 ゑびすビル1階/開業=2021年10月/坪数・席数=8坪・15席/営業時間=11時30分~14時30分、17時~21時、土日祝11時30分~14時30分。無休/平均客単価=980円/1日平均集客数=130人

 ●愛用食材・資材

 「かば焼のたれ」 オタフクソース(広島市西区)

 絶妙な甘さで魚に合う

 醤油ベースでとろみのある甘口のかば焼きのタレ。同店では「タレさばめし」「タレ鯖串」に使用。甘党という泉谷代表の味覚にハマッたそうで「甘さが際立っている点が気に入りました。鯖を焼いた後、同品を絡めてから二度焼きすると味がよくのり、照りもよく仕上がります。魚に合う味ですよ」と言う。

 規格=2.2kg

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