デパート地下街の変格活用法 その場で食べるコーナーに注目 お勧めは試食!
半年にわたり、デパチカ遊園地を探検してきたが、お気に入りの場所を見つけていただけただろうか。最後にご案内するのは試食コーナーとレストランだ。
デパチカなど試食のしほうだいと思われがちだが、実際は地方の物産展コーナーなどに限られる。威勢も気前もいいのでこちらも手を出しやすい。必ず立ち寄って味見しよう。ふるさとの味を懐かしむもよし。思わぬ掘り出し物もある。一度味を覚えると次に巡り会った時とても嬉しくなる。
試食の次は試飲。もっぱらお酒が多い。ワインなど価格も下がりあらゆる種類が出回っている。輸出国や銘柄についての情報も多い。しかし結局、味の良し悪しは自分の舌が決めるのだから、その場で数種類試せるのは効率的だし、何より経済的だ。一本買って一口で残りは料理行き、という事態を避けるためにも、試飲コーナーの充実したデパチカはありがたい。
日本酒党には地方の蔵元の出張販売がお薦め。物産展同様、名前は知らなくとも実に誠実な味に出会うこともある。こういう楽しみがあればこそ試食、試飲はやめられない。恥ずかしがらずにぜひトライしてほしい。
さて次はレストラン。といっても、どちらかと言えば軽食・喫茶だ。しかしこれが案外悔れない。席数はそう多くないし、カウンターだけの店も多い。お総菜やお菓子の店の併設がほとんどだが、これが安い・早い・うまい。上階にあるレストラン街で並んで待つ余裕のないときなどとても助かる。
天丼や寿司、ラーメンやカレーなどは定番だが、最近ではロシア料理の店がピロシキとボルシチのセットを出していたり、欧風惣菜の店が前菜からデザートまでのバイキングをしていたり。デパチカの営業時間が延びたこともあり、立派に夕食にも対応する。映画や観劇の前にちょっと腹ごしらえを、というときにも便利。
暑い時期は一休みというとつい冷たいものに目がいくが、冷房の利いたデパチカなら、かえって熱いお茶と和菓子がほっとする。老舗和菓子店併設の喫茶などが徐々に増えている。抹茶や玉露でいただく美しい練りきりで、暑さに疲れた心と身体を活性化しよう。
◇
以上でデパチカ遊園地のご案内はいったん終了するが、この遊園地は日々変化していく。その中で、例えば落ち込んだ時や悲しい時でも、口に入れると少しだけほっとする、嬉しくなる、そんな自分だけのおいしいものを見つけていただけたら幸いだ。デパチカを楽しく変格活用していこう。