旧暦で楽しむ漢方スローライフ(15)芒種
●芒種(ぼうしゅ)…6月6日頃 梅雨入り
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今年は梅雨入りが早かったですね。二十四節気では「芒種」の頃です。日本や中国では、古来から、この時期に稲や麦などの穀物の種蒔きをすることから、芒種と呼ばれるようになったとか。早春に私たちの目を楽しませてくれた梅が、その実を黄色くする頃です。
◆清潔を第一に
梅雨時のじめじめした蒸し暑さは、細菌などの繁殖に適した条件となります。今年は節電などでよりエコな生活が求められます。調理器具の消毒や調理前の手洗いの徹底、食材の適切な管理などを普段より念入りにして、食事の安全を守りたいものです。
健康管理の面では、冷たいものや生ものの摂取は控えめに。身体(特にお腹)を冷やさない工夫が必要です。
蒸し暑い日には、外出から戻った際、すぐに足を冷たい水で洗ってみましょう。それだけですっきりと爽やかになり、体感温度も下がります。
◆水分代謝を良くしよう
中医学(中国の伝統医学)は、人間を自然界の一部ととらえています。そのため、季節や気候、住んでいる環境などから受ける影響が健康状態に関係していると考えます。
この時期は、外気や室内、そして体内も「湿(しつ、余分な水分)」が過剰になりがちです。「湿」の邪気の影響を受けると、身体が重だるい感じや胸のつかえ、むくみの他、湿疹や関節が痛むなどの症状が現れます。また、「脾胃(ひい)」(消化器系)は、もっとも湿邪の影響を受けやすいので、食欲不振や胃もたれ、膨満感、軟便などの症状が見られることも。中医学による対策としては、脾胃の働きを整えて水分代謝を高めることが大切になります。
食事の面では、なるべく温かく消化の良いものを選ぶようにしましょう。おすすめの食材は、米、ハトムギ、いんげん豆、そら豆、グリーンピース、とうもろこし、長芋、じゃがいも、かぼちゃ、キャベツ、牛肉、鶏肉、カツオ、スズキ、ハモ、ねぎ、しょうが、大葉、みょうが、さくらんぼなど。
漢方では、揮発性の芳香成分により身体にたまった湿を取り除き胃腸症状に働きかける生薬のかっ香や、紫蘇葉(しそよう)が配合された「イスクラ勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」、消化を助けるサンザシを主成分とした処方などが良く使われています。
●お手軽薬膳レシピ:カツオなまり節と野菜の炊き合わせ
胃腸の機能を高める食材の組み合わせで、水分代謝をアップ
「カツオなまり節と野菜の炊き合わせ」
〈材料・2人分〉
・なまり節………180g
・なす……………2個
・さやいんげん…50g
・しょうが………1かけ
A・だし汁 ………1カップ
A・酒、しょうゆ、みりん…各大さじ2
・サラダ油…………大さじ1/2
〈作り方〉
(1)なまり節は一口大に切り、ザルに並べ熱湯を回しかける。なすは縦半分に切り、皮に斜めに切り込みを入れて水にさらす。さやいんげんは半分に切る。しょうがは半量を薄切り、残りをせん切りにする。
(2)鍋にサラダ油を熱し、なすを入れて炒め、Aとしょうがの薄切りを加え、煮立たせる。なまり節を入れ弱火にして7~8分煮る。
(3)さやいんげんを加え、4~5分煮る。
(4)器に盛り付け、しょうがのせん切りをのせる。
レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、栄養士)
●季節のオススメ養生茶:晶三仙(しょうさんせん)
サンザシの甘酸っぱい風味で、すっきりさわやかに。
●旬の食材をとりましょう
二十四節気をカレンダーの中に見つけて、自然のリズムで暮らしてみませんか。私たちも自然の一部です。季節の旬を味わって、ほら、心も身体もゆったりとしてきます。