食の安全を支える微生物検査の歩み(4)微生物の培養の歴史と寒天培地
標準寒天培地※と発育した集落 ※標準寒天培地:細菌数(一般生菌数、生菌数とも呼ばれる)を測定するための培地。発育した集落数と希釈倍率を乗じることで細菌数の算出を行う。細菌数が10^7/gを超えると初期腐敗と考えられ、品質管理の指標となる重要な検査項目である。発育した集落を釣菌(ちょうきん)し同定することもある。
微生物検査は培養が基本である。培養に用いるのが培地で、液状であれば液体培地、固形であれば寒天培地と呼ばれる。食品微生物検査では、検査材料を秤量(しょうりょう)し、これに9倍量の滅菌希釈水を加え粉砕し、液体培地あるいは寒天培地と混和して培養する。
微生物の純粋培養に最初に取り組んだのはパスツールで、液体培地で細菌を培養し、液体培地が濁ったら少量を別の液体培地に植え継ぐことで純粋培養ができると考えたが、この方法では純粋培養にならない。