食の安全を支える微生物検査の歩み(11)食中毒の変遷
2025.03.01
1949(昭和24)年から食中毒の届け出義務が開始された。その当時の病因物質は細菌性・化学性・自然毒の3種類で集計され、食中毒の発生件数は年間1000~2000件、患者数は2万~3万人前後で、細菌性食中毒の主な原因菌はサルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌で…続きを読む
社会的ニーズと同様に、食品微生物検査の分野においても迅速・自動化は不可欠なものとなっている。 食品微生物検査の迅速化は、欧米では1970年代後半から80年代初頭が黎明(れいめい)期とされる。筆者が社会人となったころである。一方、わが国では約10年遅…続きを読む
食品工場では日々、検査室で自主検査を実施し、自社製品の品質や安全性を確認している。主な検査項目は、一般生菌数(検査品中の生きている菌数)、加熱殺菌効果、二次汚染の指標となる大腸菌群などの衛生指標菌、食中毒菌としては黄色ブドウ球菌などである。 食品微…続きを読む
食品などを100℃以下の温度で加熱する方法には、パスツールが考案したパスツリゼーション(Pasteurization)がある。低温殺菌法ともいわれ、この加熱条件では耐熱性の芽胞菌などが残存するため、無菌状態ではない。 一方、食品微生物検査を含め微生…続きを読む
2018年の「食品衛生法」改正により、20年6月から原則全ての食品等事業者に対してHACCPに沿った衛生管理の義務化がスタートし、翌21年6月からHACCPの導入および運用の完全義務化が開始された。このHACCPの導入で対象となる危害要因は主に生物学…続きを読む
微生物検査は培養が基本である。培養に用いるのが培地で、液状であれば液体培地、固形であれば寒天培地と呼ばれる。食品微生物検査では、検査材料を秤量(しょうりょう)し、これに9倍量の滅菌希釈水を加え粉砕し、液体培地あるいは寒天培地と混和して培養する。 微…続きを読む
食品製造現場では日々、自社の検査室で製品や原材料、製造現場の環境検査などを実施している。 筆者は1997年から2021年まで、専門学校や大学で食品衛生学やフードスペシャリスト受験科目などの講義を担当したが、座学中心で実習はなく、微生物検査や理化学検…続きを読む
この数年間、「COVID-19」により、世界中で多くの尊い生命が失われ、日常生活にも制約が課せられたことは決して忘れることができないものである。人類の歴史はペスト、赤痢、インフルエンザ、梅毒など多くの感染症に苦しみながら生き延びてきた歴史でもある。 …続きを読む
春は入学・入社など新しい人生のスタートとなる季節であり、新しい人との出会いの時期でもある。 筆者はこれまで主に食品微生物検査を業とし、現在は(公社)日本べんとう振興協会の技術顧問として食品の品質管理や検査業務に携わる後輩の育成が主な仕事である。本年…続きを読む