15日、ファベックス関西でセミナー 溝渕弁護士「好調な企業も『倒産』『事業再生』の知識を」
【関西】15日午前11時から、ファベックス関西(インテックス大阪)で「食品企業が厳しい経営環境を乗り切るために」と題した無料セミナーを開催する溝渕雅男弁護士(大阪市中央区、共栄法律事務所)は、「好調な企業も『倒産』『事業再生』の知識を持っておくべき」という。例えば企業における最悪のケースである「破産」。企業が破綻すると連帯保証人である経営者も破産に至ることがあるが、溝渕氏は「いまだに誤解されることもあるが、破産しても戸籍に載らないし、家財道具一式を差し押さえられることもない。99万円以内の現預金、生命保険、自動車などは破産手続き開始後も持てる(「自由財産」と呼ばれる制度)。破産手続き開始後に得た収入は、原則、自分のもの」と説明する。また、経営者保証に関するガイドラインによって、保証人が破産せずに保証債務を処理できるケースも増えている。企業が「破産」を過度に恐れていると、そこから目を背けて現実的・理性的な判断ができず、時間もエネルギーも散逸してしまうと指摘する。恐れは知識がないことからくる場合が多く、時に経営者の自死という最悪のケースも生む。備えあれば憂いなしと言うとおり、余裕のある好調期に破産等の『倒産』に関する正確な知識を身につけておけば、仮に経営悪化局面に陥った場合でも冷静かつ的確な対応が可能になる。
事業承継においても同じことが言える。溝渕氏は「債務超過に陥るなど、危機的な状態であるにもかかわらず、さしたる検討もなく事業承継が実行されているケースは珍しくない」「借入についての連帯保証契約書にサインをした後、自身が承継した会社が危機的な状況にあることを理解する後継者も少なくない」という。だが「ケース・バイ・ケースではあるが、事業承継のタイミングで、事業に必要な資産などとそれに見合う借入金のみを新会社で承継し、残った借入金は免除してもらうという再生手法がとられることもある」という。「仮にこの手法をとることができれば、後継者は、過大な借入金を負担することなく、身の丈に合った、負債のみを抱えて事業をスタートさせることができる」ことになる。業績が好調な企業の経営者や事業を継ぐ可能性のある人は、ぜひ、今のうちに「事業再生」「事業承継」に関する同セミナーを聞いてほしいと溝渕氏は主張する。
(服部泰平)