即席スープ、市場に変化 昼食需要が拡大 味の素社、EC深耕へ限定品も

スープ ニュース 2020.10.05 12127号 01面

 新型コロナウイルス感染防止のため生活者が外出を控える傾向が定着する中で、朝食需要をメーンとしていた即席スープ市場が変わった。朝食需要に加えて昼食需要も拡大しているもの。このため同市場のトップメーカー=円グラフ(KSP-POSデータ、18年2月~19年1月)=の味の素社は、即席スープの国内市場は20年度(20年4月~21年3月)、食数で前年比4%増の伸び率を示すとみている。同社は下期、「クノール カップスープ」全26品種の4年ぶり全面刷新、販売構成比が高まるEC(電子商取引)チャネル深耕へ限定品の発売も計画するなどで通期同4%増を目指す。(川崎博之)

 主力のカップスープの全面刷新では、おいしさと品質向上を追求する姿勢を前面に打ち出し、新たな顧客の獲得を進めていく構え。このため、スープの持つ栄養価値を訴求、例年TVCMを投下していなかった12月も今年は投下、2月までカップスープの広告が生活者に行き届くようにする。また、デジタル広告では、若年主婦層やリピーター(ヘビーユーザー)に対して、それぞれが食事にカップスープを取り入れるシーンを映像や文字によって想起させるような仕掛けを作り需要の創造を目指す。

 コンビニエンスストア(CVS)の販売チャネルが3割を占める容器入りスープでは下期、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じたデジタル広告をSNSそれぞれの媒体特性に応じて使い分けてターゲットとする生活者に「クノールスープDELI」の持つ価値を伝える方針。

 ECチャネルでは、伸びているレトルト製品で新製品を投入、カップスープではヘビー層向けの30食などを用意するほか、家庭でストックしても邪魔にならないスティックタイプの製品をEC限定で11月以降に発売することも検討している。

 20年度の即席スープ市場は上期、前年比7%増の伸びを示したと味の素社では見立てている。このうち、カップスープ分野では4~5月に朝食に加えて昼食の需要が増加、リピーターの食数が増加したことに加え、新たな利用者も増えたことから市場が大きく伸長、同9%増で推移したとした。容器入りスープの分野は、外出自粛とリモートワーク推進の影響を受ける形で有職女性の需要が減退したものの、昼食の需要増の中でも休校措置の解除を機に手作りから簡便へ変化が始まり、ここ3年低調だったはるさめスープも復調してCVSチャネルの減退を補う形でリピーターの食数が増加、同4%増となったもよう。

 そうした中にあって、味の素社は上期、ヘビーユーザーの支持によって売上げを支えている「クノール カップスープ」の8袋入り休売とスーパー店頭での販促活動の自粛のため4~5月の市場拡大の勢いに対応できなかった。販促自粛の影響は7月まで続き、夏場の需要を創造してきた「冷たい牛乳でつくるスープ」の販促ができなかったことから、7月まではシェアを落とす結果となった。8~9月には販促活動再開の成果が表れ、2月以前のシェアまで回復した。

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