パスタ・パスタソース特集

◆パスタ・パスタソース特集:安定成長へ見直される利便性・保存性

小麦加工 2021.03.05 12196号 07面
パスタは需要の裾野が広がっている

パスタは需要の裾野が広がっている

 パスタ・パスタソース市場は、安定した売上げを確保しているが、前年比ではマイナスになると予想されている。前年2月末以降の新型コロナウイルス感染拡大による需要の急拡大の数字が大きいためだ。ただし昨年、喫食機会が拡大したことで、乾麺パスタの味わいや利便性、保存性の高さなどの価値が見直されていたことから、例年に比べると消費者からの関心は高い状態が続いているといえる。そのため、新型コロナ禍以前に提案していた早ゆで商品や新型コロナ禍に対応した商品提案をしていくことで、需要の底上げを図っていきたい。(久保喜寛)

 ●パスタ=機能性強化した新商品を投入 パスタソース=簡便性の提案を

 日本パスタ協会によるとパスタの2020年国内輸入量は、18万0956t(前年比23.8%増)と大きく伸長した。コロナ禍での巣ごもりニーズの高まりで、国産パスタが品薄になったこともあり、輸入パスタへの需要が増加したことなどが要因となっている。輸入品を分類別で見ると「卵入り」が341t(同34.3%増)、「スパゲティ」が16万7473t(同24.2%増)、「マカロニ」が1万3142t(同18.2%増)と、いずれも2桁伸長した。

 一方、国産パスタの20年生産量は、14万7232t(同5.5%増)と伸長した。新型コロナウイルス感染拡大の影響による巣ごもり需要で家庭用が8万3300t(同15.6%増)とけん引した。半面、コロナ禍の中で外食産業や給食事業などの販売が伸び悩んだため、業務用が6万3932t(同5.3%減)と苦戦した。輸入量と国内生産量を合わせた国内供給量は、32万7614t(同14.9%増)となり、輸入品が占める割合も55.2%と前年を3.9ポイント上回った。

 パスタの需要は、国産ブランドが人気で、輸入品については、メジャーブランド以外は低調な売上げとなっている。この傾向は今年も続くと思われる。一時は冷凍パスタに需要が流出していたが、家庭内需要の高まりで、手作り機会が増え、乾麺パスタを使ったメニューの登場頻度も増加しているようだ。

 また、今年は、ショートパスタが市場に定着するか注目の年となりそうだ。昨春に日清フーズとニップンの主要ブランドで展開されたが、新型コロナ禍でアピール不足となった。今年は、市場が落ち着いていることもあり、主食としてのショートパスタの存在感を高めていきたい。

 一方、ロングパスタも、機能性を強化した商品が登場している。プロテインや、糖質オフなど商品が健康ニーズの高まりを受けて市場で一定のポジションを確立するか注目だ。

 パスタソースの市場も、20年2月末からの新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、売上げを伸ばした反動を見込んでいる。特に2~3月は、巣ごもり需要が一気に高まったことで食品スーパーの店頭が品薄になり、例年の2~3倍のオーダーがあり、メーカーは一部商品を休売するなどして安定供給に努めた。商品が安定してきたのが6月ごろで、それまで大きく売上げを伸ばした。その裏年となる21年なので、前年を上回るのは難しいと予想しているが、一昨年と比べると需要は高止まりしていることから、引き続き需要の獲得を目指していく。

 近年のパスタソース市場は、あえる・かけるの簡便性タイプがカテゴリーのけん引役として伸びていたが、新型コロナウイルスの感染拡大によるストック需要などで、パスタソース全体の需要が伸びている。新型コロナウイルスの影響は今年も続くと予想されているため、昨年ほどではないもののパスタソースの需要も堅調に推移すると見込まれている。

 この状況下、パスタソースのアレンジ性の高さを訴えていきたいところだが、販促活動において小売店の店頭での活動に制限があるため、SNSなどを活用した取組みで盛り上げていきたい。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

  • パスタ・パスタソース特集

    パスタ・パスタソース特集

    小麦加工

     パスタ・パスタソース市場は、安定した売上げを確保しているが、前年比ではマイナスになると予想されている。前年2月末以降の新型コロナウイルス感染拡大による需要の急拡大の数字が大きいためだ。ただし昨年、喫食機会が拡大したこと […]

    詳細 >