日本酒輸出額、10年連続で最高更新 19年234億円に 中国が大幅増加

酒類 ニュース 2020.02.07 12010号 01面

日本酒の輸出額が10年連続で過去最高を更新した。財務省貿易統計によると19年の輸出額は約234億円と前年から5.3%増えた。中国への輸出が4割増と大きく伸び全体をけん引した。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中国だが、業界団体の日本酒造組合中央会の宇都宮仁理事は5日の会見で「輸出への影響を注視する」と警戒感をにじませた。

日本酒の輸出額を国別に見ると、首位が米国で約68億円(前年比7.0%増)、続いて中国が約50億円(同39.4%増)、香港が約39億円(同4.5%増)だった。韓国への輸出は日韓関係の悪化を受け同38.5%減の約14億円と落ち込んだ。

日本酒は海外での日本食レストランの増加を追い風に輸出を伸ばしてきた。近年では日本酒と自国の料理との相性の良さに関心を寄せる海外ソムリエが増加。フルーティーな香りが特徴の吟醸酒や純米吟醸酒を中心に需要が高まっている。

現在、日本酒の輸出量は総出荷量のうち5%程度にとどまるが、宇都宮理事は輸出の伸びが続くと見て「10%台が視野に入ってきた」と期待感を示した。

中国市場では、日本酒に特化したバーや貴重な日本酒を独自に調達し楽しむ消費者が見られるなど、「日本酒に対する情報感度は日本とほぼ変わらないレベル」(同氏)という。

だが、放射能の影響が懸念され、中国側の輸入規制で新潟産の日本酒など一部地域の製品は中国に輸出できない状況となっている。

日本酒造組合中央会では輸出活性化に向け、東京2020大会の期間中、インバウンド(訪日外国人)向けに日本酒の楽しみ方や酒蔵ツーリズムなどのPRを積極的に展開する。(岡朋弘)

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