主要外食企業1月度 時短要請に明暗 ファストフード、業態強み生かし躍動

外食 ニュース 2021.02.10 12185号 01面

主要外食上場企業の1月度・既存店前年同月比実績が出揃った。2回目の緊急事態宣言発令による時短要請と外食自粛により、大多数が回復基調に水を差された一方、ファストフード大手3社はテークアウト業態の強みを発揮しコロナ禍以降の好調をキープした。とりわけマクドナルドの既存店売上高は過去最高レベルの前年比18.7%増を記録。公助の趣旨を鑑みて、時短営業を要請された指定地域(11都道府県)の直営店は協力金の申請を辞退する方針だ。(岡安秀一)

●マック、協力金辞退へ

マクドナルド、モスバーガー、KFCが躍動した。いずれもドライブスルー、宅配、モバイルオーダーが機動力を発揮したもよう。特に業界に先駆けたモバイルオーダーは、「スマホ決済・多数一括・待ち時間ゼロ」という利便性の認知を広げ、新しい生活様式に適する「集客数減・客単価増・売上げ増」という外食事業モデルの新潮流を示した。

また、3社とも商品券とグッズをセットにした正月限定販売の福袋が好調だったほか、1月の土日が昨年より2日多かったことも売上げ増に寄与した。

マクドナルドは時短要請以降、全2923店舗中、指定地域の約1760店が午後8時以降の店内営業を中止したがテークアウト販売は継続。「今年はみんなでBIG SMILE」と題した2週間のビックマックキャンペーンが奏功した。また、アウトドアブランドのコールマンとタイアップした正月福袋は、ネット予約の抽選販売で前年を大幅に上回る応募を集めた。出前館と連携するなど宅配チャネルの拡大も貢献した。

KFCは、夜間外出の自粛要請を考慮して、来店客と従業員の安全を最優先に、指定地域の店舗はテークアウトも含め午後8時に閉店した。都心部の時短店舗は減収したが、正月限定の「ケンタお重」が巣ごもり特需で前年を大幅に上回り、全体売上げを押し上げた。また、保冷機能付きトートバッグをセットした正月福袋も好調だった。

モスバーガーは、正月限定「リラックマ福袋」と「まぜるシェイク獺祭」が早期完売したほか、キャンペーン商品「とびきりスパイス&デミ」が好調。全1263店舗中、指定地域の705店舗が時短営業したが、昨年から続く好調を維持した。

今回、時短要請協力金の給付は大手企業も対象となる予定だが、マクドナルドは協力金の申請を辞退する方針。日本マクドナルド広報は次のように回答した。

「オフィス街、ターミナル駅周辺の繁華街、商業施設などに立地する店舗など、その形態によって影響を受けている店舗があるが、当社全体のビジネス状況と協力金の趣旨、目的を鑑み、該当するエリアの直営全店は協力金の申請を辞退する方針。また、FC店も同様に影響を受けているが、運営主体が別法人であること、中小企業に該当することから、申請は各法人に判断を委ねる」

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