東京2020大会、物流まだ固まらず 製配は一刻も早い協議を

卸・商社 ニュース 2020.03.02 12020号 01面

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)の開催まで5ヵ月を切った現在、大会期間中の食品物流対策がいまだ固まらず、円滑な商品供給を果たせるか危惧されている。期間中は長期にわたる大規模な交通規制が実施され、平時とは大きく異なる物流対応を迫られるが、メーカーと卸の間で商品供給に関する協議が一向に進んでいない状況だ。卸はメーカーの対応策が決まらなければ小売業や飲食店への配送計画を立てられず、焦燥感を強めている。事態を重く見た日本加工食品卸協会(日食協)は、このほどメーカー約130社へ対応要望書を提出。製配が一刻も早く対応策を検討できるよう、早急な協議入りを促す。(篠田博一)

●日食協、メーカーに要望

大会期間の7~9月は選手や観客の移動などで都心の交通量が激増すると予想され、首都圏の26競技場・20エリアで混雑緩和へ向けた広範囲かつ長期間の交通規制が実施される。大規模規制下、食品流通は早朝・夜間配送への切り替えやリードタイムの変更といったイレギュラーな対応が必要となるため、製配販3層は円滑な供給体制の確立へ連携し、早急かつ入念な準備を行う必要があった。

日食協はこれを受け昨年11月に東京都が公開した交通規制の全容を業界向けに整理して情報提供するとともに、卸各社がメーカー・小売業と商品仕入れや店舗納品に関わる五輪BCPを早期に策定するよう呼び掛けてきた。しかし、現段階で調達先となるメーカーから卸に対し、大会期間中の具体的な物流対策の説明が一向に進んでいない状況だ。メーカーの対応の遅れは交通規制や混雑の状況にいまだ不透明な部分があり、2ヵ月間の特殊対応に伴うコスト面の試算が詰め切れていないなどの理由があるためと思われるが、卸は小売業や外食産業など得意先への供給体制・配送計画を提示できない状況にある。

「開催時期の夏場はお盆の繁忙期も挟み、今回は訪日客の増加も含め飲料などの夏物商材が桁違いの動きを示す可能性がある。開催まで5ヵ月を切ったいま、一刻も早くメーカー・卸間の対応を詰めなければならない」(日食協・奥山則康専務理事)と危機感を強め、2月中旬に日食協賛助会員メーカーへ早期の協議入りを促す要望書を提出した。

五輪期間中にメーカーが交通量の削減へ配送回数の減少や作業時間帯の変更、リードタイムの延長などを行う場合、卸はそれに合わせて拠点への在庫積み増しや営業倉庫の確保、発注体制の見直しといった特別対応を準備しなければ、小売業への商品供給を継続できない。

日食協は東京五輪における円滑な物流運営および期間中の販売機会を最大限獲得し、大会開催が製配販3層にとってメリットの大きいものとなるよう、環境整備に努めていく方針だ。

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