新型コロナ影響:主力品増産など供給強化 年末超える需要対応

総合 ニュース 2020.03.04 12021号 01面
開店時に真っ先にマスクを買い求める来店客。食品は安定供給に努める

開店時に真っ先にマスクを買い求める来店客。食品は安定供給に努める

 新型コロナウイルスの感染拡大防止へ政府が休校を要請した2月27日以降、SMなどで食品売上げが急増している。「先週末は年末需要を超える受注が発生」(大手卸)し、SM店頭ではコメや包装米飯、麺類、冷凍食品、レトルト、納豆などの欠品が相次いだ。家庭でストックしやすい常温加工食品は当面の間、平時を超える売れ行きを示す見通し。メーカーは供給責任を果たすため、主力商品に絞った生産体制へ切り替える動きも出てきた。=関連記事2、12面(篠田博一)

 今回の欠品は政府の要請で2日から全国的に休校となり、家庭内で待機することになった子どもや家族向けの買いだめ需要が一気に発生したため。「通常であればメーカーも春休み時期を想定した生産体制を準備するが、突然の政府の要請に供給が対応し切れていない」(大手卸)状況だ。

 ある卸の2月28日~3月2日の加工食品売上げはメーカーによって前年比10~60%増など顕著な伸びを示し、コメ関連や麺類、レトルトカレー、パスタなど数倍になった商品もある。「カレーは甘口や中辛が突出して動き、自宅待機中の子ども向けであることが分かる」(同)

 冷食も即食系のパスタや米飯などが顕著な荷動きを示した。低温に強い卸のセンター出荷量は27日以降、急激な変化を示し、「通常の1日当たり2万ボールが3月1日には4万まで倍増」(同卸)としている。

 卸各社は冷食は家庭内の在庫キャパシティーにも限度があるため比較的早い段階で落ち着くとみるが、在庫が容易な加工食品への影響はしばらく続くとの見方が強い。メーカーも原料在庫はあるものの、ここへきて製造キャパシティーを超えた特需発生や休校に伴う保護者の在宅でパートなど工場の人繰り悪化、折からのドライバー不足で配送に遅れが出るなど、対応に追われている。

 このため大手麺類メーカーや調味料メーカーなどは事態が長引くことも見越し、生産体制を定番アイテムや主力商品の増産へシフトして対応する方針だ。2~3日にかけて流通業と生産や配送体制に関する会話を重ね、「卸倉庫への在庫を超えた発注を控えてほしい」といった要請も行い、市場への供給安定化へ尽力している。

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