日食協など卸4団体、HACCP制度化へ手引書作成 物流の温度管理に重点

卸・商社 ニュース 2020.03.25 12029号 01面

日本加工食品卸協会(日食協)は業務用・給食業界の卸3団体と連携し、HACCPの考え方に基づく低温流通分野の衛生管理の手引書を作成した。6月に施行が迫った食品事業者向けのHACCP制度化に対応したもので、中間流通分野では唯一かつ初の業界マニュアルとなる。温度管理が必要な商品(生鮮三品除く)の保管・物流業務における危害要因や対応管理項目、必要な作業の手順書や目安などをとりまとめ、企業規模を問わず卸業界の衛生管理指針として活用していく方針だ。(篠田博一)

●中間流通初のマニュアル

マニュアルの名称は「冷凍・冷蔵商品販売事業者(加工食品卸業)に向けた温度管理を必要とする加工食品の販売に関するHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書」。

日食協を主体に日本外食品流通協会、日本給食品連合会、全国給食事業協同組合連合会の4団体で作成した。「類似業種におけるHACCPの手引書は一つとの原則に沿って、低温商材を扱う卸団体が連携」(日食協・奥山則康専務理事)し、昨年から法改正へ向けた手引書作成に着手。このほど手引書が厚生労働省の食品衛生管理に関する技術検討会の了承を得たことから、厚労省および各協会のホームページで公開を開始した。

作成の背景には18年6月に食品衛生法が改正され、今年6月から食品を扱う全ての事業者にHACCPの義務付けが猶予期間1年で施行。なお義務付けは「コーデックス委員会が定めた7原則を使ったHACCPによるもの」と、規模や事業特性に応じて一般衛生管理で十分な業種の「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の2種類がある。

日配チルドや冷凍食品、惣菜など包装済みの加工食品を扱い、仕入れから販売(納品)まで商品に手を加えない食品卸業務は一般衛生管理のみで対応可能なことから、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が適用される。

温度管理が必要な卸業務における危害要因については、外部機関への委託で「実行可能性検証」を実施。夏場を想定した37度Cの環境で配送時の作業(納品のための複数回に及ぶ車両ドア開閉)を再現した実験では商品温度の変化にほぼ影響がなく、微生物の増殖など重要な危害要因になり得ないと確認した。このため手引書は一般的な冷凍・冷蔵車両やシッパー(保冷箱)を利用した物流業務の温度管理に重点を据えて作成したのが特徴だ。

内容は低温物流業務の流れを4段階(商品受け取り→保管→納品先別仕分→配送)にまとめ、各段階で商品の溶解や破損確認、庫内温度・車両の衛生状態といった管理・確認ポイントを整理。

これに基づき衛生管理計画の作成・実施、確認・記録、定期的な計画の見直しなど、HACCPの考え方に基づく衛生管理の「見える化」を実現する。衛生管理計画の作成では一般管理に加えて重点管理ポイントとして、(1)商品保管庫内温度を始業・終業時の2回で記録(2)配送車両の衛生管理(3)可能な範囲での配送車両の温度を記録–を定めた。

また業務の具体的な行動指針となる手順書を11項目にわたってまとめ、特に商品配送において各社の設備や手法が異なることや作業の柔軟性(温度上昇を防ぐためのスピーディーな作業など)も考慮し、実行可能性の検証結果に基づく一般的な作業目安も整理。

例として、商品の仕分け・車両積み込みは冷凍30分以内・冷蔵60分以内に行うことや、長時間配送時は4~5時間おきに商品状態を目視確認、非食品との混載では、においの影響に注意するなど「実際の作業イメージを追って、かなり細かい部分までの手順を整理した」(同)と語る。

日食協では今後、各支部の総会や研修会なども通じて会員卸に手引書の周知徹底を図り、HACCP制度化に対応した卸業界の衛生管理体制の整備へ努めていく方針だ。

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