食品産業文化振興会、江良氏・兵頭氏が講演 食品事故発生時の姿勢と対応について

江良俊郎氏

江良俊郎氏

兵頭茜氏

兵頭茜氏

 ●江良俊郎氏「正確な情報を」 兵頭茜氏「嘘をつかない」

 日本食糧新聞社が主催する食品産業文化振興会は10日、講師にエイレックス・江良俊郎代表取締役と兵頭茜シニア・トレーナーを迎えて「食品事故発生時における企業に求められる姿勢とメディア対応の勘所」をテーマに東京・八丁堀の食情報館で開催した。コロナ禍で会合が制限される中、三密を考慮した講演・会場参加とWeb受講の2元体制で開催した。

 江良氏は食品事故発生時における企業に求められる姿勢として、「説明のための会見を早く開くことよりも『正確な情報のとりまとめの迅速さが肝』で、その情報を素に誠意を持って説明することが重要だ」とした。

 兵頭氏は、元社会部記者の立場として「事実確認、危険性、対応・対策、原因、背景、情報開示姿勢、補償、謝罪、再発防止策、過去の事例」を掘り下げて取材して他社よりも早く報道する使命があることから、迅速な対応が大事だとした。ただし、会見で言えること言えないことの整理を行い、その上で「嘘をつかないことが肝要で、その場で答えられないことは事実関係を確認して折り返すことで誤報されない対策が必要だ」とした。

 江良氏は、FF大手の消費期限切れ原料の使用問題で「『原料のサプライヤーに問題がある』という意味合いの発言は海外では正確なことであろうが、日本の生活者には受け入れられるものではなかったことから、報道はヒートアップした」事例を紹介した。この場合は「被害者の立場に立った説明が必要だったのではないか」とした。直近では缶のアルコール飲料容器の不備による自主回収問題に触れ、「中身に問題はなくメーカー側で保証するのであれば、食品ロス削減の観点から大規模な自主回収にまで発展しなくてもよかったのではないか」と問題提起もあった。

 兵頭氏はメディアの関心事と取材事項として「(1)何が起こったのか(2)もう危険はないのか、現在の対応は(3)原因は、なぜ事故は起きたのか(4)兆候はなかったのか、対応の不備は(5)被害者への謝罪は、補償は(6)今後は大丈夫なのか(7)過去に同様の事例は」–を挙げ、最も重要なことは「嘘をつかないことだ」とした。併せて、取材対応の悪さや取材拒否をすると心証が悪くなり、記事の表現が厳しくなることもあると説明した。(宇津木宏昌)

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