M&M’sを渡して米国流のユニークな謝罪を【世界の食品CM】

M&M’s(Mars Wrigley Confectionery Us, LLC)は、米国定番の粒状糖衣チョコレート菓子。駅のキオスク、薬局、スーパー、どこにでも売っている。ピーナッツ入りやピーナツバター入りもある。CMは、小袋入りのM&M’sを渡して謝罪の気持ちを表すいくつかのシナリオ。どれもおかしいが、少し米国の新しい事情を知っておかないと、わからないものもある。

シナリオその2を解するヒントは、「mansplain」という新語。mansplain とは、男性が女性に対し、恩着せがましく、すでに女性も知っていることを偉そうに説明すること。

シナリオその3は、赤ちゃんが生まれたとき、米国ではよく性別を明かすパーティ(gender revealing)をする。ピンク(=女の子)の風船を飛ばしたり、ブルー(=男の子)のコンフェティを散らしたり。このCMでは足元に開いた箱がある。中に発煙装置が入っていたのだろう、うまくいかずあたり一面に青い灰が散らばってしまった。そこで、「ただ男の子だって言えばすんだのにね」と謝ることに。

実はこのgender revealing、2021年に南カリフォルニアで実際に起きた事件だが、発煙装置から飛び火して2万2000エーカーを焼失した山火事に発展してしまった。多くの家屋を焼いたうえ、消防士1人が死亡、2人がけがをするはめに。2018年にもアリゾナ州で同じようにgender revealingの発煙から飛び火して4万7000エーカーを燃え尽くす山火事を起きた。

シナリオその5の会話、“I’m sorry I called you Karen”―― “That’s my name”―― “I’m sorry your name is Karen” も少し補足がいるかもしれない。Karenって呼んでごめんね、と謝ったら、本名もKarenだった! Karenとは、怒りっぽくてレイシストで不愉快な中年女性を指すときに使う名前なのだ。(日食外食レストラン新聞 ニューヨークNY駐在記者・外海君子)

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