FABEX2022:主催者特別セミナー EPAC・櫻庭英悦代表理事 リサイクルの現状に問題提起

櫻庭英悦氏

櫻庭英悦氏

 環境にやさしいプラスチック容器包装協会(EPAC)代表理事の櫻庭英悦氏は、ファベックス2022の会場で「地球環境の負荷軽減に資する実現可能な容器包装のあり方」と題したセミナーを行った。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻、円安などの社会情勢に触れながら事業者が直面する産業構造の変化を解説し、リサイクルの現状について疑問を投げ掛けた。

 同氏は食品に使用される容器包装には〈鮮度保持〉〈利便性・安全性〉〈情報提供〉の三つの役割があるとした上で、近年は〈環境〉への配慮が欠かせないと強調し、「いくら安全で便利な食品容器であっても地球環境にやさしくなければその容器包装は支持されない」と解説。その一方で「『資源枯渇』『炭素税排出権取引』『原料調達』など食品容器包装をめぐる課題は多い。コストアップ要因も少なくないが、日本は“技術立国”としてもう一度技術開発で世界に存在感を示すべきだ」と意見を述べた。

 現在食品業界では、プラスチック使用量を減らすためにPETボトルの薄肉化やボトルtoボトルの取組み、プラスチックトレーをなくすなどの努力がなされているが、同氏はレジ袋の有料化は「政策としては失敗」と指摘。「レジ袋が有料化されたことでプラスチック由来のエコバックが増えたり、100円ショップでビニール袋が売れたりしている。レジ袋の有料化は手段であり、目的はプラスチックの減量であるはず。本末転倒だ」と憤った。

 また、日本と欧米のリサイクルに関する考え方の違いについて「日本はサーマルリサイクルが58%、マテリアルリサイクルが23%、ケミカルリサイクルが4%で86%の廃プラが有効利用されている。しかしこれはあくまでも日本基準。欧米ではサーマルリサイクルはカウントされない。つまり世界基準では27%しか有効利用されていないことになる」と指摘。リサイクルは世界基準で総合的に取り組むべきだと意見を述べた。(涌井実)

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