ポイント還元効果、業態間で格差 10月小売、CVSのみプラス

小売 ニュース 2019.11.27 11976号 01面

10月の小売業界団体の販売統計で消費増税の影響が業態によって格差が出た。増税に伴うキャッシュレス化推進のポイント還元の恩恵を受けたコンビニエンスストア(CVS)が前年を上回った一方、9月に駆け込み需要が大きかった百貨店は2桁の前年割れ、軽減税率が適用される食品の構成比が高いスーパーは小幅な下落にとどめた。前回14年の8%の増税時には全業態で駆け込み需要と反動減が表れたが、今回は制度上、受けられる恩恵によって業態間で明暗が分かれた。(山本仁)

日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の10月のCVS統計によれば、既存店ベースの売上高伸び率は前年同月比1.8%増だった。2%のキャッシュレス・ポイント還元が受けられるCVSには追い風になったほか、前年10月のたばこ増税も影響した。

一方、百貨店は駆け込み需要と反動減が大きかった。日本百貨店協会の統計によれば、9月は23.1%増だったが、10月は17.5%の下落だった。中でも美術・宝飾・貴金属が31.3%減と高額品に大きな反動減が出た。

大手のスーパーを中核とする日本チェーンストア協会(JCA)の統計では9月に2.8%増、10月では1.3%の下落だった。前回の14年、前々回の97年の増税時より駆け込みの上げ幅も反動の下げ幅も小さかった。軽減税率の食品が売上げの約9割を占める食品スーパー3団体の統計では9月に0.4%減、10月も1.7%減と前年割れが続いた。

増税の影響について、JCAの井上淳専務理事は「年末年始まで動向を見ていく必要がある」と10月の統計で判断するには時期尚早と見る。ポイント還元については「政府の政策によって消費者がCVSに流れる不公平な影響が出ている可能性は否定できない」と指摘した上で「不公平な政策で過度な価格競争からデフレを招く懸念がある」(井上専務理事)とあらためて見直しを求めた。

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