名店の逸品:叙々苑「銀盤冷麺」 冷麺の大革命 辛口酢ダレで新境地に

2022.09.05 523号 14面
「銀盤冷麺」 1,650円/小盛1,400円(各税込み) スープを減らしスープを絡める

「銀盤冷麺」 1,650円/小盛1,400円(各税込み) スープを減らしスープを絡める

 焼肉の名店「叙々苑」が満を持してこのほどメニュー化した「銀盤冷麺」。その特徴は「少量のスープを麺に絡める」こと。冷やし中華に似た、いわば「汁なし冷麺」ともいえる斬新な趣向だ。名古屋栄店を皮切りに、全店に順次導入を進めている。単品のほか、コースではミニサイズで提供し、滑り出しの評判は上々だ。

 「冷麺の大革命」と同店の新井泰道代表取締役会長も期待を寄せる「銀盤冷麺」は、汁なしタイプの冷麺をステンレス製の平皿に盛り付けたもので、スープが少量のため、麺の存在感と具材の彩りが映える。また、別添えの「辛口酢ダレ」を加えると、鮮やかな見栄えが演出され、締め料理に好適な「酸辣」のアクセントが際立つ。

 開発のきっかけは、大半のお客が冷麺のスープを残していたこと。せっかく作ったスープを残されるのは、もったいなく、忍びない。ならば「スープが残らない冷麺を作ればよい」(新井会長)と発想を変え、汁なしタイプの銀盤冷麺を打ち出した。

 調理ポイントは、ゆでた麺を冷水でしっかり締めて、冷やしスープをまんべんなく絡めること。そして、絡めたスープが落ちてたまらないよう、平皿いっぱいに麺を広げること。何より、味の変化を演出する辛口酢ダレの独創性がポイントだという。

 話が飛ぶが、冷麺の食文化は、朝鮮半島のキムチとオンドル(床暖房)により育まれた。トンチミ(キムチの漬け汁)の活用が冷麺スープに発展し、温かいオンドルの環境が冷たい味覚を受け入れた。そして冷麺は家庭料理であり、トンチミの量も限られるため、元来の冷麺はスープが少なかったとみられる。つまり冷麺のルーツはトンチミを絡める程度の「あえ麺」だったと推測されるのだ。

 そう考えると、本場の元祖も銀盤冷麺のようなあえ麺だったのかもしれない。

 ●店舗情報

 「叙々苑」

 本社所在地=東京都港区六本木6-1-24ラピロス六本木5階/店舗数=直営69店(首都圏50、札幌1、仙台1、新潟1、金沢1、名古屋3、京都2、大阪3、兵庫1、広島2、博多1、熊本1、沖縄2)※22年4月現在

 ●「銀盤冷麺」 1,650円/小盛1,400円(各税込み)

 調理のポイントはスープをよく麺に絡ませて盛り付けること。「銀盤=銀皿」は、この冷麺のためだけに製造した特注のステンレス製。具材は牛肉、冷麺専用カクテキ、ゆで卵、リンゴ、メロン、キュウリなど。酢やからしを希望する声もあるので、辛口酢ダレとセットで提供し始めている。

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