話題の飲食施設 多摩センターおちあい横丁(東京・多摩市)産直・地ビールで集客

1996.06.17 103号 4面

「多摩ニュータウン」の中心、京王線・小田急線多摩センター駅。3月6日、小田急線高架下南側道路沿いに、鉄筋コンクリート地下一階、地上三階建ての蔵造りをイメージした飲食施設「おちあい横丁」がオープン。地域サラリーマンや住民の憩いの場として、とくにアルコール業態は連日の賑わいをみせている。

この施設は新都市センター開発(株)(本社/多摩市、資本金二四億円、吉田公二社長)が、総事業費五億円を投じ、多摩センターにおけるオフィスワーカーなどの飲食ニーズに対応する目的で建設したもので、同社が建設した初めての飲食オンリーの施設だ。

敷地面積一四〇坪、建築面積一一六坪。地下一階、地上三階建て、延床面積四〇〇坪。ここに居酒屋一店、小料理屋二店、焼き鳥一店、ビアレストラン一店、パブ一店、とんかつ一店、お好み焼き一店、コーヒー・バー一店の計九店を展開している。(別掲)

新都市センターは昭和45年3月、住宅・都市整備公団を筆頭に都市銀行、長期信用銀行、生保などが出資して設立、以来多摩ニュータウンにおける業務および商業施設などの建設と管理運営を推進してきている。

「丘の上プラザ」「丘の上パティオ」「新都市センタービル」「多摩センター百貨店」(多摩そごう)などはその代表的施設だが、小規模ながら飲食単独の「おちあい横丁」の展開は今回が初めてのケースだ。

「飲食オンリーの一つのモデルケースとして、これが成功すれば、今後こういった施設展開も積極的に検討していく必要があるのでは‐と考えています。おかげさまで施設は思った以上の盛況ぶりで、とくにサラリーマンのいない土・日の集客を心配していたのですが、代わって地域の住民の利用が多く、うまくバランスがとれているということで、大変によろこんでおります」(新都市センター開発(株)開発課計画課長西川秀文氏)

九店舗合わせて初年度年間売上げは七億円。一店舗平均約八〇〇〇万円という計算になるが、集客は好調なので、現在のペースで推進すると目標を大きく上回る見通しだ。

居酒屋「新撰組」は、東京ジューキ食品(株)(本社/東京・調布市)が経営するチェーン店で、三多摩地区を勢力地盤に一六店を展開している。

「おちあい横丁」での出店は地上二、三階の二フロアで、総店舗面積一二〇坪、客席数二五〇席。九店舗中最大の店舗規模で、キャパシティーが大きいだけに、宴会、グループ客など多人数利用の集客に成功している。

客層はもちろん、平日はサラリーマンやOL、土・日は地域の住民、若者が主体になる。

客単価二八〇〇円。人気メニューで、売上げ貢献度の高いメニューは、“産地直送”ふるさと旬の味=かつおのたたき土佐づくり五三〇円、ほたるいか酢味噌四〇〇円、トビウオの一夜干し五八〇円、マグロのしゅうまい四〇〇円、薩摩地鶏のたたき四八〇円。

このほか、オリジナルメニューではいわしの梅しそ揚げ四三〇円、グリーンアスパラとタケノコの中華屋台風炒め五〇〇円、マグロの竜田・サラダ仕立て四八〇円など。

月商二〇〇〇万円以上。これは目標をクリアしている数字だという。

営業時間は午後5時~午後12時、第三日曜日は休み。

二階、新撰組と向き合う形で出店しているのは、地ビールが看板の「ビア倶楽部」だ。店舗面積三四坪、客席数六六席。

この店は他店にほぼ一ヵ月遅れて4月9日にオープンしたが、地ビールレストランというだけに、地元の熱い視線を受けての出店だ。

もっとも、地ビールレストランは今年2月9日、八王子市大塚に一号店(本店)を開店しており、おちあい横丁は二号店目の出店だ。

これら両店は(株)多摩ブルワリー(本社/八王子市、資本金五〇〇〇万円、黒田泰光社長)の直営で、本店はブルワリー(ビールプラント)併設のレストランだ。

店舗面積六八坪、客席数八八席。地ビールは麦芽、ホップがドイツ産、酵母が国産(サッポロビール)で、上面発酵の「ヴァイツェンビール」(アルコール五%)、同「レッドエールビール」(五%)、下面発酵の「ボックビール」(七%)の三タイプを提供している。

価格はヴァイツェン酵母入り、同酵母なし、レッドエールの三種セット七五〇円、ヴァイツェン酵母入り、同酵母なし、レッドエール各五二〇円、ボックビール四八〇円など。

つまみの人気メニューは大根サラダ五八〇円、ミックスピザ九五〇円、牛肉のカルパッチョ風六八〇円、冷たいチーズフォンデュ五〇〇円、バラエティーソーセージ(六本)一〇八〇円など。

客層はおちあい横丁がサラリーマンや女性、グループ客。本店は地元住民をはじめ、学生、カップルとさまざまで、時間帯によっても客層は異なってくる。

客単価は、おちあい横丁で二八〇〇円、本店で二六〇〇円。売上げは本店が月商三〇〇〇万円、おちあい横丁は同二〇〇〇万円。

営業時間は本店が午前11時~午後10時30分、おちあい横丁が午後5時~同11時、両店ともに無休。

コーヒー・バー「プロント」。直営、FC合わせ都内市街地を中心に九〇店を展開しているが、多摩センターのような郊外都市立地は初めてのケースだ。

この店はFC店。店舗面積三〇坪、客席は昼四八席、夜五六席。昼は喫茶とパン、サンドイッチ、夜はダイニングバーに変身する“二毛作経営”であるのは周知のとおりだが、まだ客数が不十分で、新撰組やビア倶楽部のように連日の賑わいとまではいっていない。

とくに雨天の日曜日などは大幅に客数が減る。都心とは異なった顧客変動の大きい利用形態をみせているということだ(各務良文店長)。

客単価昼四〇〇円、夜一七〇〇円。これはプロントの平均的な数字だが、客数は昼二五〇人、夜一〇〇人前後。月商八〇〇万円以上。

オープン当初は開店景気もあって一日四〇〇人以上ということもあったが、現在は二割前後ダウンした。

プロントは都心では広く知られた存在だが“郊外立地”ではまだ認知されていないということか、それとも、地域性を考慮した店舗運営が望まれるということか。

まだオープンして間もない。夏場の生ビールの売りなどで、今後の集客力を期待したいところだ。営業時間は平日午前7時30分~午後11時、日・祭日は午前8時30分~午後11時。

地ビールは基本的には上面発酵の「ヴァイツェンビール」「レッドエールビール」、下面発酵の「ボックビール」の三タイプ

○開業/平成8年3月6日

○所在地/多摩市落合一‐一一‐三

○事業主体/新都市センター開発(株)

○敷地面積/一四〇坪

○階層/地上三階、地下一階(鉄筋コンクリート造り)

○延床面積/四〇〇坪

○店舗数/九店(約六〇〇席)

○初年度売上げ目標/七億円

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