お店招待席 居酒屋「BISTRO三十五段屋」 メニューに個性光る
“若者の街渋谷”に見つけた大人の居酒屋「BISTRO三十五段屋」は、駅から店までの街の騒がしさがうそのような、落ち着いた雰囲気が漂う人気の店で、渋谷駅から一〇分ほど歩いた東急文化村奥、シティーホテルの地下にある。
名前の「三十五段屋」は、地下にある店内へ続く石段の数からつけられた。一段降りるごとに渋谷の雑踏が遠ざかるこの店は、昨年1月にオープン。いわゆる“渋谷”には無い落ち着いた雰囲気がうけてか約一〇〇席の店内は、平日・休日を問わず連日の満席状態。週末は予約無しではほとんど入れないというのが現状だ。
「ユーザーターゲットは女性。実際客層の七~八割は女性です。常連客をつかむため、スタッフには気軽にお客様と話すようにと指導しています」という店長の増田さんの言葉通り、店内のあちこちから常連客とスタッフの楽しげな会話が聞こえてくる。リピーターや口コミ客が多い理由がこの辺にあるのかもしれない。
「ビストロ」の名に合わせたというコックコートのようなユニフォームを着るスタッフは、ほとんどが男性で、オープンキッチンになった厨房や歩き回る店内で気軽に客とのコミュニケーションをとる。
この店の特徴は安くてボリュームのある料理。ターゲットは女性だが、必要以上にヘルシーを唱ったり量を少なくすることはない。店長が自信を持ってすすめる店の三大名物料理「大根おでん」「どんぶり茶碗蒸し」「地鶏焼き」のボリュームはとにかくすごい。料理の種類は決して多くはないが、一つ一つに個性があり、和・洋・中のすべてを取り入れた内容は、メニューを眺めているだけでも楽しく、思わず注文したくなってしまう。
お酒では、サングリアや焼酎を果物で割ったオリジナルの果物の酒、黒ビールや人気のチリワインなどが揃っており、珍しい物好きの女性に受けている。
これからの目標は「新しい料理を研究し、メニューを増やしていくこと」とさらなる客層の拡大に意欲満々だ。「落ち着いた雰囲気の中で、語らいながら大人のお酒を飲む」そんな渋谷も良いかもしれない。
★大根おでん(主役の大根は長さ15センチメートル、じっくり煮込んだ味は抜群)……………580円
★どんぶり茶碗蒸し(オニオングラタンのイメージで、パンとチーズをのせた洋風茶碗蒸し)…………………………………680円
★名物地鶏焼き(ひなどりの半身を天塩と昆布で一晩寝かせ、さっと揚げたもの)680円
★刺身(選りすぐった新鮮な魚を日替わりで提供)……………………………780円前後
★日替わりサラダ(「ホタテとだいこん」や「ごぼうとツナ」など、マヨネーズベースのサラダ)………………………680円前後
BISTRO
三十五段屋
〈創業〉平成7年1月
〈所在地〉東京都渋谷区円山町一‐一、東急文化村前渋谷シティーホテルB1、Tel03・3770・9835
〈営業時間〉午後5時30分~午後11時30分(ラストオーダー午後10時30分、ドリンクは11時まで)休日なし
〈店舗面積・席数〉四四坪・一〇〇席
〈従業員数〉社員八人、アルバイト七人
〈客単価〉三〇〇〇円
〈一日来店客数〉一五〇人(平日・休日とも)
〈客層〉サラリーマン、OL、学生のカップルなどさまざまだが、やはり女性客が七、八割を占める。
〈売上高〉月商一六五〇万円
「初めて来たとき“絶対誰かに教えてあげたい”と思った」という鈴木奈緒子さん=写真左。教えてもらった斎藤久美さん=同右=も「スタッフの人とも仲良くなれたし、落ち着いて語りながら飲めるところが気に入りました。ぜひまた来たいです」と大満足の様子。