シリーズ・売れる惣菜 「豆腐」 やすく作れて高い利益率、手間いらずの魅力商材

1996.12.02 116号 17面

豆腐は、中国でおよそ二〇〇〇年前の漢の時代につくられ、日本には一三〇〇年前に遣唐僧によって伝えられた。しかし、一般的に広められたのは室町時代以降のこと。

やがて江戸に伝わり、元禄年間に豆腐料理店が誕生、天明年間(徳川中期)には豆腐百珍の本も出され、いろいろな料理法が記されている。田楽豆腐、湯豆腐、いり豆腐、がんもどき、白あえ、などである。

豆腐は良質な大豆が原料で、栄養面からみても理想的。タンパク質は木綿で六・八%、絹ごしで五・〇%。カルシウムや鉄も多く、しかもローカロリーで消化吸収も極めて良好である。

何よりも日本人の口にあった食品で味は淡泊。特有のにおいもなく、手軽で経済的。純植物性であるからコレステロールもゼロの美容食。夏によく冬にもよい優れものである。

このため、アメリカやヨーロッパではヘルシーを理由に高い人気がみられる。特にアメリカでは豆腐サラダが売れ筋で、つぶして生野菜の上にのせドレッシングをかける。よくつぶしてマヨネーズとあえ、サンドイッチに。豆腐バーガーはひき肉を半減し、その分だけ豆腐マッシュを加えて焼く。

その他スクランブル(卵とまぜる)、グリルステーキ・カレーソースがけ、ストロガノフ、バーベキューなど。デザート用としてチーズケーキ、プディング、パイ、ラザニエ、アイスクリームなどに利用する。

同様におからも、かつてはソイパルプ(大豆のかす)と呼ばれ低くみられていたが、最近はおからと英語で呼ばれるようになり昇格。おからバーガー、おからパンケーキ、おからコロッケなどと、ヘルシーさを理由に新利用法が生まれ、人気食材となった。これらの利用法は数百種で日本より上である。

元祖の中国では毎年豆腐祭りが発祥地准南で盛大に行われ、新製品が発表されている。すでに豆腐のバラエティーは一〇〇〇種を超え、豆腐菜譜ほか十数冊の料理書が出版され、冷菜、炒菜、炸菜、燒菜、〓菜(煮込みあんかけ)、蒸菜、甜菜(甘い料理やデザート)などあらゆる料理に利用され、学ぶべき点は多い。

日本での利用法では、夏場は冷奴、冬場は湯豆腐の人気が高く、最近では寄せ豆腐もよく食べられている。いつ食べても飽きないのが身上である。

健康食品の代表とも呼べる豆腐は加工適性も高く、焼き豆腐、油揚げ、がんもどき、凍り豆腐、豆乳、おからなどに利用され、いずれも庶民性の高い食品である。特に惣菜用としての豆腐は、食べやすさ、経済性、飽きない味、バラエティーの豊富さ、そしてヘルシーさで売れ筋となっている。特に原料費が安く利益率が高いため、惣菜販売にとっては魅力商材となる。

人気アイテムをみると、いり豆腐、豆腐とイカの煮つけ、カニ豆腐、豆腐のフライ、焼き豆腐の田楽、揚げだし、肉豆腐、豆腐とチーズのはさみ揚げ、煮奴、あんかけ豆腐、土佐豆腐、ユズ味噌豆腐、がんもどきの煮つけ、擬製豆腐、白あえ、うの花などと多い。

特にうの花は売れ筋の三羽烏で、食物繊維に恵まれ、心臓病、高血圧、大腸がん、糖尿病などにも効果があるとして、健康食品の花形である。

おからづくりのポイントは、質の良いおからを使用すること。たっぷりの水で洗い、よく水気を切り、ホロホロになるまで空いりするなど、前処理が大切。また、惣菜として中国風は麻婆豆腐と鍋〓豆腐(揚げ豆腐の煮つけ)、炒桂花豆腐(いり豆腐)、〓豆腐(とろみ煮)などに人気が高い。

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