お店招待席・女性客を増やすポイント講座(1)ビストロ アルディオ
リーズナブルで安心できる料理を出すレストランをモットーに、一九九六年10月にオープンしたアルディオ。Bistro(気軽なレストランという意味)とあるように、「ゴテゴテ飾らないフランスの田舎料理」が楽しめるフランス料理の店だ。
料理長の菊池シェフは、銀座の某有名レストランにいたが、自分の納得のいく安全な食材を使い栄養価などを考えて料理をつくりたいと思っていたところ、同じ考えを持っていたビルのオーナーに出会い、店を任されることになったそうだ。
ビルの入り口はこじんまりとし、黒板には手書きの本日のメニューが書かれている。エレベーターを上がると、正面にシェフが料理している様子がうかがえるキッチンがある。天井が高めの店内では、イラストレーターの描いた大きな美人画を飾っても威圧感はない。石だたみの床、少し低めのいすとゆとりある席づくりは、クラシックなクリムトルックにまとめ、オープンで落ち着ける。
アルディオの特徴といえば、なんといっても食材で、安心、安全の素材はこだわり抜いたものばかり。
「気に入った素材をこの目で見たい。母親が子供に安全なものを与えるのと同様、(料理人の)プロは、体によくておいしいものを提供するのはあたりまえ」とオープン前にあちこちをまわって素材を探した。
ワインは、七〇~八〇本飲み、気に入ったものを三五~四〇種類に絞った。ちょっとしたワイン専門店のような品ぞろえといえる。おかげで、六社もの酒屋と取引することになってしまったが、「手間より味を優先する」ため「これからもっと増やしたいと思っている」のだそうだ。
食材においては、肉はアメリカ・コロラド州のコールマンナチュラルビーフ(自然飼育牛)、パンはフランスから直輸入した粉とバターを使って厨房で焼き上げる。塩や水についても同様にこだわるが、なかでもコメに至っては有機無農薬米を埼玉の田で、自らの手でつくっている。魚は毎朝築地へ電車で出かけ、約三〇㎏を持ち帰るという筋金入り。
「利益は少ないかもしれないけれど、電車で市場へ行ったり、インスタント食品を使わないといった手間をかけてやることでなんとか切り盛りしている」
毎日出かけて食材を仕入れるため、メニューはその日によって違うものも出てくる。一年を通したメニューに加えて、毎月旬のメニューが一〇~一五種類加わる。炭火を使い、素材を生かし、ソースは添える程度といった料理には自然と季節感が出てくる。客もリピーターが多く、毎月替わるメニューが一番の売れ筋とのこと。
店名を「グリルバーアルディオ」と別のものにして、四階のフロアはお酒を楽しむことがメーン。店内は五階から暗めで、料理の値段もよりリーズナブル。
「お酒がメーンですので、五階より値段を下げて一皿に載る量を抑えました。そうすれば何種類か食べられるじゃないですか。もちろん質とか素材のランクを下げているわけじゃないですよ」
旬のメニュー構成も全く同じ。飲みたい時でもおいしく食べたい女性心理を鋭く見抜いている。
「オープン当時から少しずつでも増やしてきた良質な素材をもっともっと増やして、おいしいものが食べたいと望んでいる人たちにつくっていきたい」
そのコンセプトが女性客に伝わっている。
ビストロ アルディオ
[創業]平成8年10月26日
[所在地]東京都新宿区新宿三-三六-一四、カワノアネックス5F、電話03・3351・3251
[営業時間]ランチ午前11時30分~午後2時、ティータイム午後2時~5時、ディナー5時~11時(ラストオーダー10時15分)
[店舗面積/席数]一〇〇坪/一一六席
[従業員数]一〇人(うちシェフ七人)、アルバイト二五人
[客単価]三五〇〇~四八〇〇円
[一日来店客数]二〇〇人
[客層]二五~三〇歳の女性が八割
[月商]一四〇〇万円