世界の味 トルコ 欧州料理の元祖、全体に薄味
機会があってトルコを旅行したが、トルコ料理は世界の三大料理の一つと聞かされて、首をかしげたけれど、ヨーロッパ料理などの元祖といわれると少し納得した。
トルコの食生活の基本は米と野菜であり、焼く、煮る、詰めるに尽きる。今回の旅行はツアーだったので食べ歩きはできないが、出発前から必ず食べる物を決めていた。ドナルドケバブ、アイスクリーム、トルココーヒーである。トルコはイスラム教徒の国で、豚肉は使わず、中心となるのはマトンであり、シシカバブーに代表される。
お目当てのドナルドケバブは、シシカバブーの一種で、マトンと牛肉を太い串を中心に交互に何枚も直径二〇㎝ぐらいに重ねて巻き、回転させながらあぶり焼きするものである。
アンカラの街角の小さなレストラン入口で見つけたとき、立ち止まって眺めていたら、大きな牛刀のようなナイフで中心をたてにしてぐるぐる回っているのを削り落として皿に盛りご馳走してくれた。スパイスのせいか、マトン臭はあまりなかったが塩味は薄かった。プレゼントされたためか、口の中にマトンの味が広がり大変においしかった。店内の客にはジャガ芋の油揚げ、トマト、キュウリを添えて売っていた。
きれいなレストランのシシカバブーは、日本でいう串焼のように大きな金串に角切りマトンが大きなインゲンと交互に刺して並べてあった。日本ではさしづめ長ネギを使用するところである。
魚は旅行中ランチでよく出たが、全て油焼き、から揚、天ぷらまがいのものであった。
パムッカレの湖畔でランチの時は、湖の魚が塩焼して出ると楽しんだが、ブラックバスのような魚がから揚げて出てきた。やはり塩味はなく、持参の醤油をかけている人もいた。イスタンブールの有名なガラタ橋では、ボスボラス海の魚をとった舟が両岸辺に(橋は海にかかっている)寄り合い、舟の中で、岸で店を開いていた。ビニールかご(みなブルーカラーだった)に魚を並べる芸術的様式美は見事。なかにはエラから赤い臓物を引き出してカラフルにしているのには驚いた。舟の中でも魚を売りながら大きな油鍋に魚を揚げてパンにはさんで正体不明の紙に包んで売っていた。仕事帰りの男性達がたむろして食べている。そのパンはナンといい、イースト菌は入っていない。
その帰りの地下道は、両側が小ぎれいな店舗が並んでいるのに驚いたが、その端の喫茶店(?)の店先に探していたアイスクリームを売っていた。長い平板でアイスクリームをすくい上げるとき、キネモチのように伸びるのでびっくり。食べてみると普通で、甘さも軽かったのが不思議のひとつ。
もうひとつ、トルココーヒーはアンカラのホテルで飲んだ。苦く、香りも苦い感じ。羊のチーズは毎朝食にすっぱいと思いながら食した。バザールで大きな白い石けんのような塊りで売っているのをみて驚いた。焼く、煮る、詰めるの詰物はピーマン、トマト、ナスなど、いろんな素材にひき肉や松の実などをハンバーグ状にして詰め、煮るか焼くかしてある。味付は塩分少なく、オリーブオイルや酢の味がした。旅行中楽しんだのは、何でも細く刻んだサラダ。
印象に残るおいしかったのは、ボスボラス海のフェリー乗場で、荷車式屋台で小さなおじいさんが売っていたシシカバブーと小さなアジの焼物。シシカバブーは小さな串で、アジは金網の上で焼いていた。このアジはプレゼントだった。