旅館業で初めてISO取得「ことひら温泉琴参閣」
(株)加ト吉観光の手掛ける大型旅館「ことひら温泉琴参閣」(香川県琴平町)は、このほど旅館業界で初めてISO9001を取得した。ISOは、国際標準化機構の定める品質保証の認定資格で、琴参閣は、安定したサービスを提供するために企業が備えなければならない「経営のシステム、仕組み」を申請し認証を受けたもの。
琴参閣は平成9年の温泉開湯以後、増築や付帯設備開設を経て年間来館者二二万人を誇る大型旅館に至っている。「良いサービスをいかにして提供するか」「多様な顧客ニーズにいかにして応えるか」「そのような意識を全従業員でどのように共有するか」という今後のテーマに取り組むためISO取得に踏み切った。
ISOは、製品やサービスといった、お客が受けた品質(結果)に対する認証ではない。そのため「クレーム発生を未然に防ぐ旅館全体のマネジメント仕組み」を構築することで、認証を申請した。
「職場、職位ごとの権限と責任を明確化し、ものごとの決定方法やだれがやるのかといったことを文書化するなどして、各種の手順を整備しました。これらはだれでも会社の方向性が分かるほか、従業員全体に共通意識を持たせる効果があります」(高木真作代表取締役)
「顧客ニーズの変化が激しい時代だから、旅館側も変化対応を持続させることが大切。顧客ニーズの変化に対応して品質提供方針の見直しを行い、手順書も必要に応じて書き換える。つまりISO認証取得が終点ではなく、むしろ出発点であり、認証取得後も定期的な審査があり、品質提供のシステムが劣化しないように顧客ニーズの変化に機敏に対応してゆきます」(同)
今回の認証取得にかかわった第三者審査機関は(社)日本能率協会審査登録センター。品質提供の結果に対しては、旅行代理店とタイアップによる顧客アンケートで情報収集し、クレーム潰しを随時提供システムに追加することで、半年に一度の継続審査に備える方針。
宿泊業界におけるISO取得は、旅館業で加賀屋(石川県金沢市)がISO9002、ホテル業でホテルオークラがISO9001を、いずれも国内初として取得している。旅館業におけるISO9001取得は、今回の琴参閣が国内初。
▽ISO9001=設計、開発、製造、据え付け及び付帯サービスにおける品質保証モデル
▽ISO9002=製造、据え付け及び付帯サービスにおける品質保証モデル
●ISOとは?
ISOは、国際標準化機構(International Organization for Standadization)の略称。普通「アイ・エス・オー」と呼ぶが「イソ」「アイソ」とも呼ばれる。ISOは「ふさわしい」の意味を表すギリシャ語「isos」から取られたもので、本部はスイスのジュネーブにある。ISOは「品質システム」に対してのみ許可される「仕組みの評価」で、「製品」や「サービス」といった結果的なものに対して許可されるものではない。ISO登録には第三者機関の認証が必要で、以後、継続審査もある。レベルに応じてISO14000、9002、9001の品質モデル(ランク)がある。
▼認証店=ことひら温泉琴参閣(香川県仲多度群琴平町六八五‐一一、Tel0877・75・1000)▼収容人数=二二五室一一一九人▼建築面積=三万一二二七・二三平方メートル(一一階建)▼駐車場=大型バス三〇台・乗用車二〇〇台▼施設=貴賓室・特別室(個室露天風呂付)、大浴場(サウナ・露天風呂付)、展望温泉浴場(露天風呂付)、料亭(一九室)、ことひら座(一室)、大宴会場(和・洋二室)、宴会場(中・小二九室)、ほかクラブ、カラオケ、ラウンジ、プール、ゲームコーナーなど▼ISO9001の適用範囲=ことひら温泉琴参閣の「旅館サービス」「日帰り温泉サービス」の企画、提供について適用▼審査機関=(社)日本能率協会審査登録センター(予備審査=平成10年11月16~17日・本審査=平成11年1月21~22日・判定委員会=平成11年2月22日)