宅配ピザ特集:トップインタビュー=ストロベリーコーンズ・宮下代表

2000.02.21 198号 11面

‐‐昨今の状況について。

宮下 昨年は値引き合戦突入で大変きつかった。とくに競合地域では他チェーンから一〇〇〇円引きをぶつけられ、こちらも本気で応戦せざるを得なくなった。値引きだけでは面白くないので、新商品との二本立てで訴求したが、やっぱり消費者はディスカウントに弱い。一気に注文件数が五割増しに跳ね上がった。昨年12月は前年対比一一五%を達成する勢いだった。

当社は素材を生かしたピザが売り物。消費者アンケートの結果を見ると「素材を生かしてほしい」という声が多い。それにこたえ、厳選素材を直調達するなどクオリティーには自信を持ってやってきたが、それでもディスカウントにはかなわない。

‐‐ディスカウント合戦をどう見るか。

宮下 ディスカウントは高品質を安くするならいい。しかし、最近のディスカウント乱立をみると、食材コスト削減によるケース(値引き)が目立つ。打開策に知恵を絞るのはいいが、安直な安売りが先走っている。残念ながら業界内の品質の秩序が大変乱れている。

ディスカウントで新規需要を開拓できるなら、われわれも米国のように一〇〇〇円ピザをやりたい。だが、わが国のチーズに対する関税が高すぎる。現実的に米国のように安くできるわけがない。価格ゾーンは一〇〇歩譲ってMサイズ一五〇〇円が限界。このラインが今後の攻防戦になるだろう。

安いチーズも確かにある。が、安物は加熱して冷めると塩化ナトリウムが染み出て塩辛い。われわれは冷めてもおいしいチーズを使っている。いまや販促費の削減分を食材コストに充てて、原価率四〇%ぐらいの商品もある。おいしいピザで原価率二五%などというのは絶対ありえないし、せめて三〇%が限界だろう。それ以下は食材の品質を落とすしかない。

‐‐出店状況について。

宮下 二〇〇〇年3月期の店舗数は一七四店舗。売上げ前年対比は一一一%を見込んでいる。

いま神奈川県内の店舗の反響が非常に良い。独自の地図情報システムが完成したので、売上げ予測が可能となった。データ分析によって相模原市、横浜市、小田原市などに出店したところ。いずれも平均月商八〇〇万円の繁盛店になっている。

‐‐株式公開や新規参入など、今後の計画について。

宮下 二〇〇一年10月には株式公開する予定。もう少し早まる可能性もある。新たにレストラン事業として「イタリアンダイニング」を東京都港区などに三店舗直営出店してきたが、このほどFC一号店を福島県郡山市にオープンした。今後五年間で一〇〇店舗を展開する方針だ。また、フレンチベースの多国籍料理店「異彩酒膳・IHIGO(いちご)」を昨年12月に宮城県仙台市に開店した。宅配ピザ事業を柱に、今後はこれらレストラン事業の拡大に努める。

株式公開は、ナスダック・ジャパンからのアプローチが強い。当社は米国でロバート・デニーロ経営の「NOBU」と提携するなど、海外の事業計画も数多い。これは将来的世界戦略である。米国の事業はまだまだ赤字。これを日本の証券市場はマイナスととらえるが、国際市場のナスダックによれば「将来性を買うのが株式市場」という。われわれが上場すれば、外国人を中心に資産家がつくと思う。

◆みやした・まさみつ=昭和25年宮城県仙台市生まれ。コンピューターに関心を持ち上京、日本IBMでSEとなるが、実家の事情でやむなく帰郷。コンピューターに未練を残しつつ、喫茶店、ケーキショップ、パーティーケータリング、カフェバー、イタリアンなど数々の飲食事業を転々。昭和60年デリバリーピザチェーン「ストロベリーコーンズ」を興してからは持ち前のセンスを遺憾なく発揮。システム開発やネットワークづくりに奔走し、飲食事業と情報システムの融合をいち早く成功させ、ストロベリーコーンズを瞬く間に東北一の外食チェーンに育て上げた。

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