広島・夏向け中華麺:「流行屋」

2000.04.17 202号 3面

まだブームの兆しすらなかった一九八六年にオープン。「どうせ店を始めるなら珍しいものを出したい」とつけ麺の店を出し、今では老舗的存在である。広島で元祖と呼ばれる店の味を手本に、自ら改良を加えて今の味に至った。

自慢の「つけ麺」は辛口、中辛、大辛、超辛口が各七五〇円。特徴はだしに入っているごま油。客の前には、まず最初にだしが運ばれてくる。すると香ばしいごま油の香りに食欲が刺激され、麺がゆで上がるのが待ち遠しくて仕方なくなるのだ。

そして、運ばれた麺の上には彩りよく野菜が盛られている。キュウリ、ニンジン、貝割れ、そして一般的には白髪ネギをのせるところを、ここでは玉ネギを薄くスライスしたものになっている。シャクシャクした歯触りと独特の苦みがさわやかさを引き立てている。

あと、錦糸卵と、「だしに入れても、野菜にかけてもいい」というレモンものる。

店主のモットーは「手間をかけてコストを下げ、ひとつでも安くておいしいものを提供する」。調理を一人で担当しているにもかかわらず、手間を惜しまず野菜はすべて包丁で切り、業務用はパサパサするからと卵を焼き、焼き豚を作り、ごまをする。

この姿勢を貫いてきたことと、ブームに流されない、料理に対するバランス感覚があったからこそ一四年目の今を迎えることができたのだろう。

ほかに、辛くない「冷しラーメン」(八〇〇円)、冬期だけの温かい「キムチラーメン」(六五〇円)もある。

◆「流行屋」/所在地=広島市南区松原町六‐五、佐伯ビル一階、082・261・6196/営業時間=午前11時30分~午後2時、5時30分~8時30分、日祝休/坪数・席数=一一坪・一六席/店主名=沖田秀喜/客単価=一〇〇〇円/平均客数=一日五〇~一〇〇人(五〇~一二〇食)/平均月商=一二〇万円

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