甘口!チェーンストアを誉めちぎる(3)がんばれ「CoCo壱番屋」
カレーなんて、だれでも作れそこそこうまいカレーが簡単に作れる。しかし、こんなに身近な食べ物なのに、そのメニューを主力にしたビッグチェーンが生まれていない。いや正確には、一社のみ存在している。「CoCo壱番屋」である。CoCo壱番屋は昨年度、全国に四七六店舗を展開しカレーライス業界では断突の伸びを示している。八八店舗を本年展開予定で、詐欺的FCチェーンなどは足元にも及ばない勢い。
何故、CoCo壱番屋だけが強いか。それは、「辛さのレベル」「具の種類」「カレーソースの種類」「ライスの量」などチョイス(選択)ができるためである。客の細かいニーズをくみ取ることは、調理する者にとってとんでもなく面倒なことである。
辛さを調節した後、鍋で一人前ずつソースを温めている。そうすると、洗い物がめちゃくちゃ増える。どんどん洗っていかなければ次のオーダーに間に合わない。コロッケやその他の具も、その場で調理。ライスもグラムだから、調理計りで調整する。
これは面倒でハードな仕事である。特に昼時の、オーダーの複雑さといったらない。「良くこんなやり方を考え出したな!」とキッチンにいる人が気の毒になる。しかし、こんな複雑でハードできついことをするカレー屋はほかにはない。
普通のカレー店では、カレーソースは既に出来上がったものを湯煎にかけて温めているだけ。ご飯もずーっと前に炊いたもの。具もランチのピークには揚げ置き。だからどんなに急がしくても、せいぜい二~三分で提供。これが普通のカレーショップだ。しかし、CoCo壱番屋は、ほかがやらないからこうした複雑で手間のかかることをやり切り一人勝ちしているのである。
だから強い、本当に強い。客に人気がある。簡単な料理のカレーが、ここまでこだわると素晴らしい外食産業になる。だから、CoCo壱番屋の独走は当分続くに違いない。
(甘太郎)