名古屋版・焼き肉繁盛店探訪:「じゅうじゅう焼肉カルビ大陸廿日市店」
肉もさることながら、ご飯類に強い焼き肉店がある。広島県廿日市市の「じゅうじゅう焼肉カルビ大陸廿日市店」では、韓国料理のもう一つの定番ともいえるビビンバやクッパといったご飯類に力を入れている。
飲食店がひしめき合う国道沿いに、居ぬきを利用して昨年の3月にオープン。ファミリー客が多いが、サラリーマンや女性客にも人気があり、席数一〇八席でテーブルと座敷が選べる。店内は明るく、煙がもくもくと漂う焼き肉店というよりは、ワイワイガヤガヤやりながら食事を楽しめるファミリーレストラン感覚だ。
「私は焼き肉ではなくて中華料理出身なんです。だからこそ遊び心を感じさせる料理を作りたかった」と話すのは、「じゅうじゅう焼肉カルビ大陸」で総料理長を勤める戸越典吉氏。
「ほかでは味わえないビビンバです」と戸越総料理長に出していただいたのが、「石焼カレーチャーハン」。
ネギが多めにのってはいるものの白いご飯が顔を出しており、見た目は普通のビビンバだ。しかし、スプーンでかき混ぜると不思議なことに器の中はカレー一色に。早速味見をすると、ドライカレーの味だ。タネを明かすと、盛り付けたご飯に少しくぼみを空け、そこにカレールーを入れて卵黄でふたをしたのだ。
真っ黒であつあつの器の中にご飯と、その上にホウレンソウ、モヤシ、ワラビのナムル類を入れたビビンバが正統というならば、こちらは異端児といわれるかもしれない。しかし、異端児だからこそうまさをとことん追求できるのではないか。
一方、戸越氏が「絶対自信がある」とお勧めする「大陸カルビ」(五八〇円)は、アメリカ産の牛肉を使用することで低価格化を実現した。
「たれはある程度時期が来たときに『食べたいな』と思わせるようなものでないといけません」という同店は、肉の質以上に、おいしいと思わせる「味」自体を大切にしているようだ。
「今はお客さまがお店を選ぶ時代です。お客さまのニーズにどれだけこたえられるかが大切だと思います」
「いつでも安心感を与えられ、地元の人が自転車で来てくれるお店にしたいですね」
安売り店だからこそ、他店とは違ったアイデアと安心感を提供し、地元の人が気軽に立ち寄る店づくりをしたい…。戸越氏の言葉の中には、ますますし烈化してしていく焼き肉業界で、生き残るためのセオリーが隠されているような気がした。
◆売れ筋メニュー
1位/大陸カルビ(五八〇円)
2位/石焼ビビンバ(七八〇円)
3位/石焼カレーチャーハン(七八〇円)
◆愛用食材 豊関農協の玄米
「ご飯に関するクレームが出たことはありません」と、自信たっぷりに話す戸越氏が店で愛用している食材は、コメ。しかし一口にコメといってもいろいろだが、地元産の野菜を愛用しているというだけあって、こちらで使用しているのは山口県阿武郡・豊関農協の玄米。
厨房をのぞかせていただくと、入り口横に精米機が置いてある。店では精米したコメだけを出しており、その量は毎日二〇~三〇キログラム。
「焼き肉をご飯の上にのせて食べるお客様が多いので、いつも炊き立てでおいしいご飯を出すことを心がけています」
また、レジ付近には精米時に出たコメぬかがおいてあり、希望者は持ち帰ることもできる。
◆「じゅうじゅう焼肉カルビ大陸廿日市店」(広島県廿日市市地御前1丁目10、0829・20・3660)営業時間=午前11時半~午後3時、5時~10時半