中華料理特集:主力3社中華メニュー戦略、味に厳しいファミリー客の目
ファミリー中華の市場は、今まで成長期であったため、出店予知のある立地に余裕をもって店数を増やしてきた。しかし、店数が段々と増え、認知度が高まるにつれ、消費者からの厳しい目にさらされ、競争が激しくなってきたといえよう。
このような中で問われるのはメニューの品質。もともと一つの食材を無駄なく最後まで使用できるので、創意工夫により原価率を低くすることができる。しかし、原価ではなく消費者から顔を背けられないようなメニュー力の向上がもっとも大事であり、業界全体がブラッシュアップしていかなければならない。
◆(株)暖中カンパニー
暖中の立地はロードサイドが主体である。よく紅虎餃子房と比較されやすいが、立地からみるとバーミヤンと競合する。「もともと大皿と皆で気を使いながら食べるのはどうも」という高田社長は、コミュニケーションをとりあえる場として、暖中を展開している。したがって、気兼ねなく自分の皿を確保し、またおすそ分けできるような居酒屋の一品メニュー感覚で、ポーション・価格ともダウンサイジングしたハーフメニューを主としている。想定は一人二皿。
その中でも人気メニューは、名物蟹玉チャーハン、鉄鍋棒餃子、五目あんかけ焼きそばとなっている。また、格子状の壁をテーブルを囲み半個室を作り出しているジャングルジムと呼ばれるテーブル形態も、気兼ねなく子供を連れてこられる中華コミュニティーレストランとして大きな特徴となっている。
◆(株)王将フードサービス
(株)王将フードサービスが目指しているのはファミレスではなく大衆食堂といった方が近い。お母さんの手作り感を残し、気軽に利用していただくという点であろう。餃子の王将であるから餃子がメーンであるが、餃子に限らず、点心、飯類、麺類、揚げ物、一品など五〇〇品目以上のメニューがあり、餃子をメーンにしたセットメニューを拡充している。
しかし、売上高の約半分近くを占める餃子は、規模が拡大した現在でもフレッシュ感を残す変わらない味として引き継がれている。しかし、関西は一皿五個入りで一八〇円、関東は一皿五個入り二〇〇円という価格差は、関東の方が味以上に店構えやサービスという付加価値をお客様が要求するからだそうだ。
また、(株)王将フードサービスの店舗は、立地にあわせてフォーマットを変え、一律ではなく多様な店構えを見せる。これは、テークアウトという強みをもっているからこそできる芸当であろう。餃子をメーンにした強みが生かされる。
◆際コーポレーション(株)
際コーポレーション(株)の主な中華業態は、多くの流動客が望める中心地出店のカジュアルチャイニーズな紅虎餃子房である。しかし、ほかにもさまざまなものがある。店舗数拡大を狙ったFC向けには、アルコール中心にして都心型の萬力屋、食堂型の万豚記、やや高級なフートンマンダリンなど。立地に合わせていくつもの多様な業態タイプがあるが、どの業態でも、商品開発は力を入れている。
もともと、細長く四角い餃子や韮菜饅頭、通常よりも黒い麻婆豆腐などは紅虎餃子房が日本で初めて行ったものだ。しかし、本場の中国では、味噌汁にキュウリやトマトが入っていたり、骨を立てて中の髄をストローで飲ませたり、あんがかかっているなしのコンポートがあったりとあっと驚く多様なメニューが多い。今後の市場のブラッシュアップのため、もっともっと研究をして本物を行っていきたいという。