東京・池袋にシュークリームのテーマパーク誕生 活況のフードテーマパーク
7月下旬、東京・池袋サンシャインシティ内のナムコ・ナンジャタウンにシュークリームのテーマパーク「東京シュークリーム畑」がオープンした。ナムコ・ナンジャタウンには池袋餃子スタジアム、アイスクリームシティの二つのフードテーマパークが営業している。いずれも企画・運営は(株)ナムコ。同社が手がけたフードテーマパークはこれで一一ヵ所になった。ナムコのETカンパニーET企画ディビジョンリーダー池澤守氏はフードテーマパーク増加の背景を「商業施設、複合レジャービル、都市の再開発地区などが不況の中で経営困難に陥っている。集客の起爆剤としてフードテーマパークが求められている」と説明する。全国のフードテーマパークは推計約二〇ヵ所、レストラン街やフードコートの新形態フードコンプレックスを合わせると五〇ヵ所ともいわれる。年間一〇〇万人を超える来場者を引き付けるフードテーマパークの魅力を探った。
フードテーマパークはラーメン、ギョウザ、カレーライス、すしなど日常食をテーマにした集合飲食施設。首都圏・近畿圏中心に約二〇ヵ所が営業している。第一号は横浜市に開設した「新横浜ラーメン博物館」だが、各地に飛び火していったのは〇一年から。その火付け役がナムコだ。
ナムコはフードテーマパークの特徴として(1)年間一〇〇万人以上の集客力(2)他にない選りすぐりのテナント(3)ターゲットは老若男女、あらゆる趣味嗜好の客層(4)母体施設だけでなく周辺商業施設への相乗効果(5)エンターテインメント演出で来場者の“感動消費”を喚起(6)オリジナルメニュー開発・店舗入れ替えで鮮度維持を挙げる。
フードテーマパーク随一の集客力を誇る池袋餃子スタジアムは、マスコミ媒体に取り上げられることによる広告宣伝効果五二億円、ナムコ・ナンジャタウンの総来場者数二倍効果、サンシャインシティ全体への波及効果(年間来店客三五〇〇万人)も認められている。
開設から三年を経過した横浜カレーミュージアムは、今でも年間一五〇万人が来場する。「楽しいから客は来る。おなかが空いたから来るというところではない」(池澤氏)。テナントは一年ごとに入れ替え、シーズンごとにイベントを実施するなど、飽きさせない演出に知恵を絞る。同ミュージアムがある伊勢佐木町一・二丁目地区商店街の来街者数は、〇一年二四%増(九九年比)。「他の施設も開設したが、カレーミュージアム効果があったことは確か」(同商店街広報)。
池澤氏は「消費者は“安・本・楽(あん・ぽん・らく)”を求めている」と指摘。一〇〇〇円以下の安さで本物・本格的な味を楽しみたいというニーズだ。フードテーマパークは、各地で話題の行列のできる銘店・人気店の味が一ヵ所で一〇〇〇円以下で食べ比べでき、テーマに応じた街並みが雰囲気を盛り上げる。大正、昭和のレトロな商店街、港町、中華街の中に店舗、ゲームコーナー、休憩スペースを配置、食べ歩きの合間に遊んだり休憩できる。
ナムコの企画したフードテーマパークの出店者は、設備投資・賃料の負担がない完全売上歩合制。東京シュークリーム畑に出店した梅屋(旭川市)の山本憲彦社長は、「東京の人に食べてもらえるよい機会。通常の店では持ち帰って食べるが、ここではできたてを食べ歩けることが魅力。九五%以上はここで食べていくだろう。一日一〇〇〇~二〇〇〇人に提供したい」と出店理由を語る。
行政が町おこしにフードテーマパークを活用する動きや、大型商業施設同士の集客競争の目玉にフードテーマパークを誘致するところもあり増加傾向は続きそうだ。「全国に五〇ヵ所はできてもいい」と池澤氏はいう。ただしフードテーマパークは、あくまでも集客装置。集まった客にいかに買物してもらうかは施設全体の魅力にかかっている。