関西版:KICHIRI、外食産業の新スタンダード創造 2スタイルで店舗展開

2005.10.03 306号 14面

(株)きちり(大阪市中央区、電話06・6244・5678、平川昌紀代表)が展開するモダンジャパニーズダイニング「KICHIRI」(きちり)には、同じ名前でありながら、違った顔の二つのスタイルが存在する。同社が位置づける「ダイニング業態の最高級価格帯でブランドを育成する」高付加価値業態と、「多店舗展開と収益性」の普及型業態だ。

現在、客単価平均6000円の高付加価値業態は、大阪の本町、西新地、淀屋橋と、9月16日にオープンした京都の4店舗を展開。客単価2600円の普及型業態は、梅田、心斎橋、道頓堀、難波などの大阪の繁華街と、大阪府下の郊外や兵庫などで12店舗を展開している。

2スタイルを合わせたKICHIRI16店舗のうち、9店舗が05年に入っての出店だ。「この9月にオープンした『KICHIRI KARASUMA』で、関西での出店は一段落した。今後はブランド構築、06年の関東進出、上場準備に注力する」(平川代表)方針で、来年からの関東地区出店を含め、全35店舗展開を計画している。

世間では和風創作料理の一時のブームは落ち着いた感があるが、KICHIRIが提案するのも「和食ベースの創作料理」。それでも来店客が絶えないのは、アルコール売上げに依存せずに、産地直送の旬の野菜や週替わりで希少価値の高い食材を使ったり、女心をくすぐる本格スイーツなどを提供して「ブランド力構築に努めているから」(同)で、最終試食は平川氏が必ず行うという。

同氏は、97年にモスバーガーのフランチャイジーとして外食産業に携わり、翌年に洋食居酒屋「だいなーきちり」を開店させた。以来8年経過し「変化し続けてきたKICHIRIは今後、確立した2業態をマイナーチェンジするだけで、新規出店できるベースが整った」(同)。

「同じ店構えは1店としてない」という客を飽きさせない個性的な店舗空間づくり。外食産業にはめずらしい「ブランド」で勝負に挑み「外食産業で勝負し、新スタンダードを創造していく」のが平川氏が目指す外食産業の形だ。

また「あくまでも情報やほかの角度から、店づくりを発見するアンテナショップなので多店舗展開はしない」としながら、大人のためのスイーツ専門店「SWEET&CO.」や、アルコール比率を上げる立ち飲み居酒屋「福力」を展開し、クリエーティブな店舗も発信している。

◆「KICHIRI」高付加価値業態モデル店=KARASUMA店(京都市下京区四条通烏丸東入長鉾町22、電話075・254・0567)オープン=05年9月/営業時間=午前11時30分~午後2時、5時30分~午前0時/席数=36席/平均客単価=6000円/人気メニュー=「黒本鮪中トロの炭火炙り」(1029円)、「フォンダショコラバニラアイス添え」(609円)

◆「KICHIRI」普及型業態モデル店=UMEDA店(大阪市北区堂山町4‐12)オープン=05年4月/営業時間=午後5時~午前2時(無休)/席数=170席/平均客単価=2600円/人気メニュー=「炙りトロサーモンのおろしポン酢」(609円)、「鳴門金時サツマイモのフライドポテトハニーディップ添え」(504円)

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