ラーメンチェーン店、野菜ラーメンが続々

2006.06.05 315号 2面

ラーメンもヘルシーに食べたい! 食の安全性への感心、健康志向の高まりを背景に、「身体に良いラーメン」という新たなニーズが強まっている。そうした潮流を先取りしたチェーン店では、野菜活用のヘルシーラーメンを開発する機運が高まっている。ヘルシーアピールで女性客をはじめ新規客の獲得にも意欲的だ。

●リンガーハット 野菜八目冷しめん

長崎ちゃんぽん「リンガーハット」チェーンの夏季限定メニュー「野菜八目冷しめん」は、サラダ感覚の冷やし中華。冷やし中華の定番トッピングである中華クラゲやハム、煮卵に加え、リーフレタス、サニーレタス、モヤシ、貝割れ大根などの8種類の野菜がのり、ボリュームたっぷり。たれは玉ネギ風味の和風ドレッシングでサッパリと仕上げた「しょうゆ味」。麺は「のど越しの良さ」にこだわった自社製麺を使用している。

「暑い季節には冷たい麺が食べたい」というお客の声に応えて開発されたこの品は、まさにそのニーズにベストマッチ。4月末の販売開始以来約1ヵ月、天候に恵まれないにもかかわらず、すでに店平均1日9食強を販売、好調なスタートをきっている。今後、気温の上昇とともにさらに販売数が伸びることが予想される。

ヒットの背景には近年、飲食ユーザーが生活習慣病に関心をもち、バランスの良い食事に心がける傾向が強くなったことにあると、同社は分析する。基幹商品である「長崎ちゃんぽん」「皿うどん」も1杯で大人が1日に必要な野菜量の3分の2以上が取れる「ヘルシー食」と再認識され、売上げが順調に伸びているからだ。

昨年まで同チェーンの夏季メニューは西日本では「冷麺」、東日本は「冷しつけ麺」と地域のニーズに合わせて売り分けていた。「野菜八目冷しめん」のヒットを受け、今後、この品を全店統一のオリジナル夏季メニューに育て上げる考えだ。

◆「リンガーハット」(企業名=(株)リンガーハット/本部所在地=東京本社・東京都港区高輪3‐23‐17、品川センタービルディング/店舗数=417店舗)

●ちりめん亭 野菜らー麺

「ちりめん亭」の「野菜らー麺」は、キャベツ、ニンジン、玉ネギ、モヤシ、おろしニンニク、赤パプリカなどの7種類の野菜をゆでてトッピングしてある。彩りのきれいさも魅力だ。一番の特徴はスープを醤油、塩、味噌、豚骨、豚醤の5種類の中から選べること。自分の好みの味で野菜をたっぷり食べられると好評だ。

このチェーンでは過去にも単発的に野菜ラーメンを提案してきたが、いずれも短命に終わっていた。しかし2年前、スープを選択性にすることで、お客に「次はどのスープで野菜を食べようか」と期待感をもたせることに成功。リピーター客が増えて売上げが一挙にアップ、1日25~30食を販売するヒット商品となった。

メニューはラーメンのコアユーザーである中高年男性にファンが多いのも特徴的だ。これは「ラーメン好きはラーメンにヘルシー感を求めない」と考えられていた常識が変わりつつあることの表れと、同社は見る。

さらに「これからはより食の安全性が問われる時代、いずれはラーメンに使う食材にもトレーサビリティーが求められる」と予想する。今後、トレーサビリティーの管理体制を確立した親会社の(株)モスサービスと食材を共通化することも視野に入れて、物流の整備などを行っていく。

◆「ちりめん亭」(企業名=(株)トモス/本部所在地=東京都新宿区納戸町26番地/店舗数= 98店舗)

●らあめん花月 新野菜主義!ラーメン菜菜(ナナ)

「らあめん花月」は、今春から「新野菜主義!ラーメン菜菜(ナナ)」をラインアップした。1日15~20食を売る上々の出足で、ベジタリアンをはじめ新規客層を広げている。

この品は、ラーメン作りには欠かせない動物系の材料は一切使用せず、野菜類だけで作り上げた新感覚ラーメン。1食528カロリーというライト志向が売り物だ。野菜具材には、菜の花、ニンジン、ジャガ芋、大根、トマトなどといった素材を取り入れている。とりわけ自慢のスープが染み込んだ大根は絶品とか。また、オリーブ油を加えることで、スープ表面に7色の輝きを演出。見た目にもこだわっている。

「ラーメンとは無縁だったベジタリアンからの反響が大きい。期間限定メニューですが定番化を検討するほど好調な売れ行きです」(同社広報部)

◆「らあめん花月」(企業名=グロービートジャパン(株)/本社所在地=東京都杉並区上荻1‐14‐5/店舗数=217店舗)

●らーめん庵 ベトコンラーメン

大盛りのモヤシにニラ、豚ばら、揚げニンニクを加え、サッと炒める。それがラーメンの上に山盛りに乗せられる。タカノツメを煮込んだスープには、おろしニンニクが加えられている。香ばしいニンニクの香りとピリ辛のスープが食欲をそそる。麺とほぼ同量に盛られたモヤシが麺と絶妙に絡まったシャキシャキ感がたまらない。これが東海地区のご当地ラーメン「ベトコンラーメン」だ。

「ベトコン」といってもベトナム戦争時代に使用されていた言葉ではなく、ミネラル、ビタミンが豊富なことから「ベスト・コンディション」。それを略して「ベトコン」。東海地区ではおなじみのラーメンの1つだ。

ベトコンラーメンの発祥は岐阜といわれ、20年前にはもうすでに登場していた。当初は略さずに「ベスト・コンディションラーメン」だったが、人気が広まるにつれ誰言うともなくベトコンラーメンとなっていったようだ。

取材した岐阜県各務原市の国道21号線沿いにある「らーめん庵」もベトコンラーメンが看板メニューの人気ラーメン店。11種のラーメンメニューがあるが、ベトコンラーメンが一番人気。スープは味噌と醤油がチョイスできるが、味噌が人気だ。

◆「らーめん庵」(所在地=岐阜県各務原市鵜沼羽場町5‐164、電話058・370・6789)

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