トップシェフの旬菜塾:3月 タケノコ(孟宗竹)
◆3月 タケノコ(孟宗竹)
イネ科。中国江南地方原産。普段食べているのは、まだ地中にある竹の芽の部分。日本における孟宗竹の歴史は新しく、18 世紀に琉球経由で薩摩に移植されたという説が有力。グルタミン酸やチロシン、アスパラギン酸など、うまみ成分が豊富。えぐみの素はシュウ酸などで、掘り出してから時間がたつほど増加する。繊維質、タンパク質が豊富で、ビタミンB1、B2、ミネラルを含む。エネルギー100g 中30kcal(ゆで)。
(野菜提供=(株)つま正)
○ヒルトン東京ベイ「王朝」宮本莊三料理長
◆揚げタケノコと高菜の炒め
■使用食材(3人前)
タケノコ(150g)インゲン(3cm幅40g)干しエビ(みじん大2)高菜漬け(みじん大2)長ネギ(みじん大2)赤唐辛子(2本)調味料A(塩小1/4、砂糖適宜、コショウ適宜)醤油(小1/2)日本酒(小1/2)ごま油(小1/2)
■調理方法
(1)タケノコは、皮の部分に切れ目を入れ、コメのとぎ汁で20~30分下ゆでした後、皮をむき一口大に切る。
(2)(1)に醤油、酒をまんべんなく付け、高温の油でこんがりと揚げ、インゲンも軽く素揚げする。
(3)高菜の葉の部分は高温でカリッと揚げる。
(4)赤唐辛子、干しエビ、高菜漬け、長ネギを炒め、香りが出たら(2)を入れ、調味料Aで調味し、水分がなくなるまで炒める。
(5)最後にごま油を加えて炒め、器へ山に盛り付け(3)を添える。
■ポイントと応用のヒント
香りと塩分の強いものと一緒に炒めるので、食材の風味で食べられる。塩は高菜と干しエビの塩分をみて加減を。ザーサイを使っても美味。
■タケノコを生かすポイント
食感を生かした料理をすることが大切です。あくが思ったよりも残ってしまった場合は、隠し味に砂糖を使うと気にならなくなります。また、揚げると水分が抜けるのでうまみが凝縮されます。その際は醤油で下味をつけることをお薦めします。皮付きの焼きタケノコのような香ばしさが出ます。
○分とく山 野崎洋光店主
◆筍挟み揚げ
■使用食材(4人前)
戻しタケノコ(2本)エビ(80g)木の芽(適宜)片栗粉(適宜)衣(小麦粉70g、片栗粉30g、水150ml)
■調理方法
(1)エビは背わたを取り、殻をむき、包丁で細かくたたき、包丁の背でつぶす。
(2)戻しタケノコは5mmのスライスにして、片栗粉をまぶし、(1)のエビをサンドイッチ状に挟む。
(3)(2)と木の芽に衣を付け、170度Cの油で揚げる。
(4)揚がったら塩を振る。
■ポイントと応用のヒント
火が通りにくくなるので、エビを厚くしすぎないように。実サンショウを加えるとアクセントになる。ひき肉を使っても美味だが、その場合はタケノコに挟む前に軽く火に通すと良い。
■タケノコを生かすポイント
収穫直後なら下ゆでは水で十分。通常のあく抜きは皮付きのまま半分に割り、水1000mlに対し大根のおろし汁50mlと酢25mlで。早く美しく仕上がります。鮮度が落ちてきたものをあく抜きするのは難しいですが、コメぬかを使う方法なら風味は守れます。タケノコの状態や調理法により使い分けると良いでしょう。
○アクアパッツァ 日高良実オーナーシェフ
◆竹の子のカツレツ
■使用食材(2人前)
タケノコ(下ゆでしたもの200g)細びきパン粉(30g)パルミジャーノチーズ(10g)塩(適宜)コショウ(適宜)衣(小麦粉、溶き卵、細びきパン粉=各適宜)EXVオリーブ油(適宜)ソース(トマト1個、ニンニクみじん適宜、塩適宜、コショウ適宜、バジリコ適宜)サラダ油(適宜)
■調理方法
(1)トマトを一口大にカットし、ソースの材料と混ぜ合わせておく。
(2)タケノコを包丁で粗みじん切りにし、細びきパン粉、パルミジャーノチーズと混ぜ合わせ、塩、コショウで調味する。
(3)(2)の型を整えて小麦粉、溶き卵、細びきパン粉の順に衣を付ける。
(4)フライパンに多めのサラダ油を熱して(3)をソテーする。
(5)(4)を皿に盛り、(1)にEXVオリーブ油をからめて上からかける。
■ポイントと応用のヒント
タケノコの食感を生かしながら、香ばしく仕上げた一品。フレッシュトマトのソースが軽さと爽やかさを演出。レンコンやほかの根菜などタケノコ以外でも応用できる。
■タケノコを生かすポイント
「ミラノ風カツレツ」を応用し、風味とシャキシャキ感を活用しながらも、従来のタケノコ料理とは違った食感、食味が楽しめるように仕上げました。アーティチョークを使った料理を参考にするとアレンジしやすいでしょう。チーズとも好相性です。