関西版:スイートバジルの本場の味 タイ北部料理「スイートバジル」(大阪市)

2007.07.02 330号 19面

圧倒的に女性の支持をうけるタイ料理だが、男性ひとりで訪れたり、タイに駐在した熟年男性グループが味を懐かしみ通うタイ料理店がある。駅から徒歩10分、細い階段を上がった2階にある「スイートバジル」は、少し辺ぴな場所に店があることで、隠れ家的要素も十分。

ホール担当のタイ人が行き交う店内は、タイ産家具が配され異国情緒に溢れている。4人のタイ人シェフが作る妥協のない本格タイ料理は、オーナーシェフのジェンラカントーン・レイワット氏が「タイ人が食べてもおいしいとうなずくタイ料理」という、辛みや酸味を日本人仕様にマイルドにしないタイ北部料理。

来日後、自動車会社で働いていた同氏が才覚を表したきっかけは、片手間に始めたアルバイト先が大阪で名の通ったタイ料理店だったことから。味覚と腕を見込まれ厨房に入った。料理を本格的に習ったわけではなかったが、子どものころから母親の台所仕事を手伝い、一通りのタイ料理が作れたレイ氏は、「家庭で作る伝統料理と、プロが作る料理法は違った。コメを炊く方法にしても、昔ながらの手法を取らず、洗ってすぐに炊飯器で炊くことが納得できなかった」(同)と、伝統調理法へのこだわりを持つ。

タイ料理店で約8年間勤務したレイ氏は、奥様の規子さんと「スイートバジル」を6年前に開店した。「日本からタイは近い。だからこそ日本で本物の味を提供したい。心を入れて作り、タイ料理の深い味わいを伝えたい」と、タイ食材を使う本場料理を同氏と総料理長で約60メニュー考案した。

常連客が必ずオーダーする看板メニューは、店名にもなったスイートバジルをふんだんに使った「豚肉のバジル炒め」で、レイ氏夫妻が自信を持つ辛さとうまみの一品。1日3皿限定3200円の「カニと卵のカレー風味炒め」は、殻も食べられるカニを使った上品なおいしさと存在感が人気。

タイのマットクラブを使用するため、輸入がストップすると作れない日もあるが、毎日完売。オープン後1時間でなくなる日もあるほど。タイ料理の代名詞にもなっている「トムヤムクン」は、赤色ではなく、伝統的な澄んだ透明のスープ。熱いと酸味は少なくスパイシーだが、冷めると甘みとうまみが出て、1皿で2つの味わいが楽しめる。

ボリュームがあるので、3~4人で5品のオーダーが適量。1人や2人連れはランチタイムがお薦め。リピーターの多い店だが、席数が限られているので、予約受付はオープン直後の1回転目だけ。遅い時間の予約は取らず、1時間待っても食べたい!と並ぶヘビーリピーターが支えるタイ政府の「タイセレクト」認定が付いたこだわりのタイ料理店だ。

◆タイ北部料理「スイートバジル」(大阪市北区大淀南1‐11‐9、電話06・6458・1105)営業時間=ランチは平日土だけ・午前11時30分~午後1時(土は1時30分ラストイン)、夜は毎日午後5時30分~9時30分(ラストイン)/席数=38席/平均客単価=3000円/平均月商500万円/人気メニュー=平日ランチセットは炒め物、カレー、麺など5種類ですべて980円。夜は豚肉のバジル炒め(1200円)、元祖トムヤムクン鍋(1480円、1人前550円)

◆タイセレクトとは

タイ料理を世界の飲食ビジネスに拡大させるタイ政府の政策のひとつで、現在約8000店舗ある海外のタイ料理レストランを2008年までに2万店に増やしたい考え。味、多種多様のタイ料理、調味料や食材、雰囲気、サービス、衛生的など、品質や基準をタイ政府が保証したタイ国外のレストランに与えられる認定制度。

一時、「寿司ポリスがやってくる!」と海外メディアに騒がれた日本食レストラン推奨計画だが、タイでは既にこのような認証制度が99年から実施され、07年5月末現在で全世界約770店舗、うち日本52店舗、関西地区は7店舗がタイセレクト認定を受けている。

タイ国政府商務省輸出振興局(DEP)では、タイ国外にある高品質で信頼度の高い正統派タイ料理専門店に「タイランド・ブランド認定」ロゴマークを定めていたが、06年から「タイ・セレクト」に改め、タイ料理を提供するさまざまなスタイルのレストランが認定対象になった。

詳細は、タイ国大使館商務参事官事務所(電話03・3221・9482)、タイ国政府貿易センター大阪(電話06・6262・4418)まで。

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