チーズ特集 凝縮された栄養素、骨はカルシウムの銀行

1993.11.15 40号 11面

厚生省が毎年発表している、国民栄養調査成績でも指摘されている通り、飽食の時代といわれる現在でも、カルシウムだけは一日の必要量を下回っている。

カルシウムは、骨や歯を作るのに必要なだけではない。神経を安定させてイライラを静める。筋肉に作用して内臓を動かす。さらにはホルモンの分泌や、細胞分裂などのメカニズムとも、深く関わっているのである。

そして、これらの身体に必要なカルシウムを蓄えているのが、骨というわけだ。骨はいわば、体内のカルシウム銀行。われわれは食べ物や飲料からカルシウムを吸収しては、骨に貯金し、身体の各部分からの要求に応じて支出するという仕組みになっている。

このように考えると、カルシウムには当然収入と支出のバランスがあることになる。収入が支出を上回っていれば、いわゆる健全な“黒字”の状態。だが、支出が上回ってしまうと、これは“赤字”の状態になる。

この赤字が極端に進行した状態が、骨そしょう症だ。骨そしょう症になった骨は、ちょっとつまずいたり、せきをしたくらいでも折れたり、変形したりしてしまう。高齢者は、それがきっかけで寝たきりになってしまう場合も少なくない、やっかいな病気なのである。

その骨そしょう症は、主に女性の病気である。事実男性では、七〇歳を過ぎた頃からようやく目立ち始めるのに対し、女性では五〇代の半ばごろから急増し、八〇代になると約七〇%の人が、骨そしょう症にかかっているといわれる。

骨そしょう症の予防は、何といってもカルシウムを貯金することだ。最も、貯金といっても、お金と同じで一かく千金というわけにはいかない。やはり若いうちから、毎日コツコツと蓄える以外に、方法はないのである。

しかし、効率よくカルシウムが摂れる食品を意識して摂っていけば、長期的に見れば相当に違ってくる。

こうした将来の“財産形成”の点からも、消化吸収率に優れ、少ない量でしかも多くのカルシウムを摂取できるチーズは、理想的と呼べるのである。

11月11日は、チーズの日。ぜひ、この機会にチーズのよさを改めて、見直してみられてはいかがだろうか。

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