中国料理お店紹介:「北京」決め手は油

1994.08.01 57号 13面

「北京料理は、宮廷料理。一言で言えば、あっさり味です」と中国料理「北京」の中川隆夫料理長。

「味の決め手は油」。ネギ油、鶏油、ゴマ油とさまざまな香辛料となる油を配合させ、独特のまろやかな味に仕上げる。メニューにある官保の意味する北京ソースを、日本で作れる人は数えるほどとか。味の秘密は、「かめの中にある」という。中国人シェフが、誰にも触れさせなかったかめの中の味を、中川料理長らが「なめて覚えた」シロモノ。

これほど貴重な味、北京ソースを使った「官保明蝦」(車海老の北京ソース炒め)を含めた四〇アイテムの菜単を、週末特別メニューで提供している。

昭和35年開業の「北京」だが、三五周年記念にあたり「謝恩をこめて、また週末対策として」(平岡達生支配人)週末食べ放題“北京三昧”を打ち出した。

ビジネス街に立地するため平日は、ほとんどが接待客のサラリーマン。週末メニューを入れて客層も厚味を増し、ファミリー客をも取り込む。毎週九〇~一〇〇人の集客を得ている。

「平日では、一人二万円にあたる料理。全くのサービスとしてのメニューです」という“北京三昧”は、グランドメニューそのもの。「料理のおいしさに魅かれ、平日に少しずつつながっている」としている。

四〇種中、人気があるのはフカヒレ、北京ダック、カニ爪、車エビ料理など。食べ放題だが、着席のまま注文するシステム。ランチタイム四〇〇〇円、ディナータイム五〇〇〇円。

「バブルが弾け、夜の接待客が昼間に移行している傾向あり」として、ランチメニュー二八〇〇円を充実させ、週替わりメニューで提供。ヘルシー志向を反映し、野菜たっぷりが特徴。

そのほか、日本の素材を中華にアレンジした旬の味、春夏秋冬コース料理(八〇〇〇円)がある。中華の懐石料理風で、銘々皿に盛り付けられ、「遠慮勝ちの人にも喜ばれています」という。

料理に付き物の酒は、紹興酒が一番人気。このほかに桂花酒、杏酒が続く。お茶も、今の主流は、ジャスミン茶を抜き、烏龍茶。ビジネス街に立地するだけに、昼と夜のバランスをどう取るかが今後の課題。

◆芝パークホテル・中国料理「北京」=東京都港区芝公園、03・3433・4141

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