ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(81)ラーメンバーガー 一気に全米の注目浴びる

2013.11.04 416号 08面
ラーメンバーガー

ラーメンバーガー

ラーメンバーガーのクリエーター・シェフ、ケイゾウ・シマモト氏

ラーメンバーガーのクリエーター・シェフ、ケイゾウ・シマモト氏

 アメリカの国民食のハンバーガーと日本の国民食のラーメンを合体させたラーメンバーガーがブルックリンの「スモーガスバーグ」に登場したのが、今年の8月3日。100食限定が売り切れ。1週間後の8月10日、出展2回めには、用意した360食が3時間で売り切れ。このころには、各メディアの注目を集め始め、全国放送のテレビにクリエーター兼シェフのケイゾウ・シマモト氏が出演、一気に全米に知れわたることに。デビュー1ヵ月後には、要望に応えて、ロサンゼルスでもラーメンバーガー販売が開始されることに。

 それにしても、たった週1の出展、2回目にして全米に知られることになったその理由は何なのだろう?(外海君子)

 ●概要:NYフード・シーンの新たなる流行

 「スモーガスバーグ」は、ブルックリンで週末だけ開かれる食べ物のフリーマーケット。4月から11月まで開かれ、土曜はウイリアムズバーグ、日曜はダンボで開かれる。どちらも最近人気のエリアである。

 出展するのは、ロブスターのロールサンド、手作りビーフジャーキー、100%ナチュラルなスラッシュなどなど、すべて気合が入った屋台ばかりだ。その一つが、出展2回にして全米に知られわたるようになったラーメン・バーガーの屋台がある。

 各メディアは、「ニューヨークのフード・シーンの新たなる流行」という触れ込みで報道、当のシマモト氏は、いきなり起こった旋風に戸惑っている様子だ。

 ●特徴:ラーメンのバンズにビーフ・パティー

 ラーメンバーガーとは、ラーメンでできたバンズに、ルッコラ、ビーフのパティ、秘密のソース、ネギを挟んだハンバーガー。ラーメンのバンズの食感がアメリカ人には新体験なのだ。今までのバリエーションは、パンのバンズに肉を挟むという原型からはみ出ることはなかった。が、ラーメンバーガーが、画期的な新風を吹き込んだのである。もっちりしていてかみ応えがあり、確かに、食べなれたハンバーガーとはまったく違う。やや甘いソースがビーフのパティとラーメンのバンズに絶妙に合う。日本人にとっても、どこかなつかしい、しかし、今まであったようでない新しい食体験である。

 シマモト氏は、ラーメンに取り付かれて日本に修業に。日本にもラーメンバーガーがあるが、シマモト氏のクリエーションは、ビーフのパティを挟むという点で画期的だった。

 待ちわびる人に1点ずつ渡していくシマモト氏に「この人気の秘密は?」と問いかけたが、「分かりません」という答え。

 ●店舗:現在は週1の出展 いずれは展開も

 今は週1の出展だが、これだけの大人気に、回数を増やすなり、固定店を開くなりする予定はあるのだろうか? 「そうはしたいです」と言うのが答えだが、現在のところは、週1で手いっぱいらしい。

 行ったのは、4週目の8月24日のことだった。晴天の下で、やはり長蛇の列。友達と連れ合っておしゃべりしながら人々は忍耐強く待っている。2時間待ってやっとありつける喜びはさぞかし大きいものだろう。この日も420食が完売。1個8$。

 ●事業データ

 ラーメンバーガー(Ramen Burger)/所在地=Smorgasburg East River State Park (Kent Ave. at North 7th Street, Brooklyn, New York/開業日=2013 年8月3日/営業時間=土 午前10時~売り切れまで(11月23日まで)

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