惣菜弁当の殿堂(21)いちばすし「のりたま」 宮古島のソウルフード
◇“甘塩っぱい”が南国風土にマッチ 初代と2代目の太巻きをセット販売
沖縄県宮古島の惣菜製造会社「(株)いちば」の太巻き寿司「のりたま」は、約30年前に生まれた島民のソウルフード。島内の食品スーパー、CVSのほとんどで販売され、人口約5万5000人の市場で日販100~140パック、盆暮れの繁忙期には2000~2500パック(仕出し換算含む)に達するほど根付いている。人気の決め手は「甘めのシャリ」「塩っぱいたくあん」「平揚げ(宮古島かまぼこ)」が三位一体となった絶妙なハーモニーだ。
●調理概要:甘めのシャリと塩っぱい具材がマッチ
調理概要は実にシンプル。海苔(薄焼き卵)にシャリを広げ、平揚げ、たくあん、卵焼きを芯にして巻き上げ、カットすれば完成。見た目はごく普通の太巻きだが、宮古島のソウルフードたる特徴は味にある。コメの一粒まで味がしっかりと染み込み、甘めのシャリに島かまぼこのだしとたくあんの塩気による“甘塩っぱい”絶妙なバランスで南国の風土にマッチし、島民に慣れ親しまれる決め手となった。
●販売実績:島内の食品店では定番中の定番
主力商品は「のり巻」4カンと「たまご巻」4カンをセットにした「のりたま」(381円)。販売場所は、島内の食品スーパー、CVSなど約30ヵ所。食品を扱う店のほとんどで取り扱われている。日販は100~140パック・盆暮れ、イベント時は2000~2500パックに達し、厨房は24時間稼働するという。
●ポイント:戦後の大人気がいまに伝わる
「のり巻」の誕生は1940年頃。市場で食堂を経営していた創業者、糸数忠一氏が商品化した。戦後「のり巻」といえば大のごちそうで、盆・正月・運動会の時期は行列ができる人気ぶりだったという。
1967年、市場の火事で食堂を閉鎖。移転して「のり巻」の店頭販売を開始。後、娘で2代目の輿那覇良子氏が海苔の代わりに薄焼き卵で巻いた「たまご巻」を開発。初代の「のり巻」と2代目の「たまご巻」をセットにして「のりたま」として販売するようになり、これが大ヒットして島民のソウルフードに定着した。
◆店舗概要
「いちばすし」 経営=(株)いちば 所在地=沖縄県宮古島市平良字下里78番地1
◆食材の決め手
根間カマボコ店(宮古島市平良)「平揚げ(宮古島かまぼこ)」
カットしやすく味に重みも演出
宮古島特産の平かまぼこ。平かまぼこの表面が波を打った形状と、グルクンなどを原料とするすり身の味の濃さが特徴。長方形で芯状にカットしやすく、表面に揚げ油がのっているので料理の味に厚みを演出できる。