メニュートレンド:ブームの逆いく“二度漬けOK!” 湯呑み活用し熱々ソースで
おまかせ5串 800円(税抜き)※おまかせ5串の内容は日替わり
早朝5時まで営業
全国的に知られているのが、大阪の串カツの「二度漬け禁止」。もともとは、新世界界隈の店から広まったルールといわれているが、最近では、ファッション的にこの食べ方を取り入れている店が急増している感がある。昨年末、大阪市内にオープンした「ヤナギストア」は、そんな風潮に一石を投じる店。「二度漬けOK!」をアピールし、新しい串カツの食べ方を提案している。
●幅広い客層が集う
同店は、大阪市内を中心に40店以上の飲食店を展開する、SASAYAグループの一員。同社子会社、(株)山下の系列店として、柳徳貴店主が運営する。
柳さんは、SASAYAグループの焼き鳥店やイタリアンでの勤務を経て、「安く気軽に食べてもらえるものを」と、同店をオープン。串カツ店は、グループ内では初の業態であり、食べ歩きなどで研究したという。
「大阪では、串カツは完成しきっている食べ物。“新しい切り口”を模索するうちにひらめいたのが、“二度漬け禁止”の逆をいく発想でした」。一般的な串カツの場合、ソースは常温で提供するものだが、「熱い串カツを、どうして冷たいものに漬けないといけないのか」という疑問が、新スタイルへの突破口になった。
揚げたてを熱いソースで味わってほしいと、ソースづくりに着手。鰹節や鯖節、昆布などでとった魚介系のだしを、ウスターソースで割って温める、独自のソースを開発した。提供方法は、1人に1つずつ湯呑みを用意し、ポットから熱々を注ぐスタイルを考案。自分専用のソースで自由に食べる、“二度漬けOK”スタイルが完成したのである。
二度漬け禁止に比べて手間やコストはかかるが、利用客からは好評。卓上に用意した七味などを加えて、自分好みにカスタマイズして楽しむ人もいるという。串カツは、よりあっさりと胃もたれしにくい口当たりを目指し、材料や調理を工夫。ドロ(バッター液)には卵ではなく山芋を使用し、細目のパン粉を付けて植物性の油で揚げている。
メニューは、1串100~300円の25種類で、季節の食材の串カツや一品メニューも用意。「二階堂みどり」など、目新しいドリンク類も提案している。また、同店は早朝5時まで営業しており、串カツやどて煮をセットした「朝まで定食」(各980円)も提供。近隣で働く人の頼りになる存在となっている。
オープン以来、予想以上の反響があり、順調に集客中という同店。美容院やアパレル店などが多いおしゃれな商業地域と住宅が共存するエリアにあり、利用客は若者からファミリー層まで幅広い。「一品メニューも増やすことで、大衆酒場のような雰囲気で楽しんでもらいたい。いろいろな人に利用してもらえる、地域に定着した店を目指します」と、柳店主は抱負を語る。
●店舗情報
「ヤナギストア」 経営=(株)山下/店舗所在地=大阪市西区北堀江1-22-23/開業=2018年12月/坪数・席数=約10坪・31席/営業時間=18時~翌5時。無休/平均客単価=2500円
●愛用資材・食材
「ツヅミ串カツソース辛」 ツヅミ食品(大阪府羽曳野市)
魚介系だしにベストマッチ
同店のソースづくりでベースとして活躍するのが、「ツヅミ串カツソース辛」。南河内産イチジクや河内産赤ワインなどを使用し、こだわりのスパイスで仕込んだ串カツ専用ソースである。魚介系だしにマッチする味をと、さまざまなソースを試して選択した商品で、フルーティーでスッキリした味わいが魅力という。
規格=1800ml