アポなし!新業態チェック(169)「BEX BURGER」吉祥寺店

2021.09.06 511号 15面

 ●サブライム、テイクアウトのバーガー店 シンプルなメニュー構成ながら、使用食材に独自のこだわり

 居酒屋など多業態を展開するsubLime(以下、サブライム)が、テイクアウト型のハンバーガー新業態「BEX BURGER(以下、ベックスバーガー)」を東京・吉祥寺に出店した。店名の「BEX」とは「BEST EXPERIENCE(最高の体験)」を表す。こだわりの食材を使用した、今までにない「ハンバーガー体験」を提供するブランドという位置付けだ。

 メニュー構成はシンプルだが、バンズに使用する北海道産のバターや牛乳、淡路島産の藻塩などをはじめ、オーストラリア産ビーフのパティなど、すべてのフードにこだわりの食材をチョイス。ドリンク類も、希少品種として知られる「パナマゲイシャ」を配合したコーヒーや、生レモンに三温糖で甘味を加えたレモネードなどを揃えた。

 標準のバーガーは「ベックスバーガー」(320円)と「ベックスチーズバーガー」(360円)。それぞれにパティとチーズが増える「ダブル」と「トリプル」がある。バンズにパティ1枚を挟んだだけの「ハンバーガー」は150円だ。ドリンク類には「スペシャリティコーヒー」「ホームメイドレモネード」(各180円)のほか、「シェイク(バニラ・ストロベリー)」(各190円)もあり、サイドは「フライドポテト」(190円)と「チキンナゲット」(250円)。ポテトとドリンクが付いた「ベックスバーガーセット」(620円)などのセットメニューも用意されている。店舗の利点を生かした24時間営業も特徴の一つだ。(価格はすべて税抜き)

 ★けんじの評価 カフェ・カンパニーとの経営統合にも注目

 サブライムは、2019年に設立されたGYRO HOLDINGS(以下、ジャイロ ホールディングス)の事業会社。ジャイロ ホールディングスは、カフェ・カンパニーとサブライムが経営統合して誕生した純粋持株会社だが、両社の沿革を踏まえれば事業ドメインが重複しないメリットはそれなりに大きいのだろう。しかし、両社とも創業者のカリスマ性が経営を左右してきたような企業だ。「両雄並び立たず」といわれるように、注目すべきは、グループの今後のかじ取りがどのように行われるのかにあると思われる。

 今回の店舗はアーケード街から路地へと入る角地にあり、建物の2方向の壁面がそのまま商品の注文と受け取り窓口になっている。利用客は店内に入ることなく、路面に立ってタッチ式の大きなオーダー端末で注文と決済をし、そのまま脇の壁面に移動して窓口で商品を受け取る仕組みだ。店舗の内部はすべて厨房で、利用客と従業員が接するのは商品の受け渡し時のみとなる。

 コロナ禍の中、開業時には営業時間を短縮していたが、6月からは計画通り24時間営業に移行した。客席どころか、店舗のエントランスや会計スペースすらもない小型店で24時間営業となれば、店舗運営の坪効率は高いはずだ。しかし採算性はともかく、この時代に24時間営業に踏み切るのは、運営面でやや冒険であるような気もする。グルメバーガー並みのおいしさをファストフード並みの価格帯で提供するというコンセプトが、果たして幅広く受け入れられるのか興味深い。

 ●店舗情報

 「BEX BURGER」吉祥寺店

 開業=2021年5月15日/所在地=東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-1 原田第二ビル1階

 ◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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