業界NEWS:当面は続くポテトショック! 輸入遅滞で安定供給難しい現状
フライドポテトの供給が困難な状況が続いている。年末年始にマクドナルドがマックフライポテトのM、Lサイズの販売を一時休止し、消費者に大きな衝撃を与えた。その後もモスバーガーやファーストキッチン、ロイヤルホスト、びっくりドンキーなどがポテト商品の一部を一時販売休止にし、デニーズもポテトの調達先を北米からヨーロッパに一時的に切り替え、ネットカフェの快活クラブではモーニングの無料ポテト提供を休止するなど、外食店におけるポテト異変が相次ぐ。
ポテト異変の要因として挙げられるのが、世界的な物流網の混乱だ。コロナ感染拡大の影響で、船便の経由地での港湾労働者や荷物を運ぶ運転手が今、不足している。また、物流の遅滞は、コンテナ不足へと波及。JETROの調べでは、1月中旬時点、アメリカ西海岸の港では荷物を積んだ100隻近い船が入港待ちの状態で、現在もこの状況は続いているという。カナダ・バンクーバー港近くで2021年に起きた水害も、加工ジャガイモの輸送を大きく遅らせる事態を招いている。
一方、ポテト商品に国内産ジャガイモを使用している企業は現状、ポテトショックの影響は逃れている印象だが、かといって輸入ポテトが調達できないなら国内産に切り替えればよい、という単純な話ではない。フライドポテト用に輸入されているポテトの多くは北米産の「ラセット種」で、日本ではほとんど生産されていないのだ。ラセット種は大きく成長するので長いピースが多く取れ、カットしてそのまま使える大きな形状で、水分量が少なく、フライドポテト向きに改良された品種だ。それゆえ、国内産ジャガイモでは味が大きく変わってしまうため、多くの外食企業では原材料を代替する措置も難しい。
オミクロン株や次のコロナ変異種の感染拡大、労働者不足、コンテナ不足などの問題はまだ解決されておらず、混乱はまだ当分は続く見込みだ。ウクライナ情勢の緊迫化が招く、新たな不安要素も大きい。多くの業態にとっての人気メニューが店頭から一斉に消えうせてしまう事態が懸念される。