2025年9月度、外食動向調査 フードコンサルティング

2025.12.01 562号 05面

 ●夏休み明けの反動減も

 日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2025年9月度売上げは、前年同月比4.8%増となり、46ヵ月連続の増加を記録した。

 8月は、お盆期間を含む夏休みの最中にあり、帰省客やインバウンド客の増加も続いたことから、客数は前年同月比1.3%増、客単価は3.4%増となった。

 夏休み明けの反動減から、業態別では前年比を下回った業態は、6月に30業態を記録して以来、7月13業態、8月6業態と減少していたものの、9月は36業態と再び増加に転じた。

 特に、従来より好調を維持していた「中食その他」が、6業態すべて前年を下回る結果となったほか、「回転寿司」と「焼肉」でも、前年比マイナス10%以上の減少を記録した業態が生じている。

 ●注目!26年開業の都内商業施設3選

 本稿執筆時、すでにクリスマスソングが流れ始めており、外気も冷たさを感じる時期となった。年明けのトランプ大統領再選から始まり、10月にはわが国初の女性首相も誕生したまさに激動の1年であったことは、読者の皆さまも異論はないであろう。

 本連載でもたびたび取り上げてきたが、外食業界を取り巻く環境は、各種コスト増や人手不足の収束が見通せない状況が続いている一方、都市部では周辺エリアからの人口流入や円安基調を背景としたインバウンド客の継続的な増加、大手企業の賃上げ実施による所得増もあり、外食利用機会の増加が続いている。

 特に東京都心部では、一部で着工の遅れや完成遅延が生じているものの、再開発エリアを中心に続々と新たな施設が誕生しており、近隣に大型施設ができたことで人の流れが急に変わることも珍しい事ではなくなった。

 そこで今回は、2026年オープン予定の商業施設のうち、都心部における注目の施設をピックアップする。

 (1)「YURAKUCHO PARK」~1万平方mを誇る都心の巨大施設~

 JR有楽町駅前にあった旧「有楽町ビル」、「新有楽町ビル」の跡地(約1万平方m!)に、三菱地所が開発主体となり、アート・食・ファッションのポップアップストアや多様な発信を行うイベントスペースなどを、2026年後半に開設予定。

 2027年には、世界的クリエイターであるファレル・ウィリアムスとNIGOが手掛ける初のアート・商業・ホスピタリティー複合空間「JAPA VALLEY TOKYO」もオープン予定であり、都心の真っ只中に巨大なアート&カルチャー空間が出現するインパクトは、世界的な注目を集めるとみられている。

 (2)「渋谷マルイ」~日本初の本格的な木造商業施設~

 2022年夏から休業し建て替え工事中の「渋谷マルイ」が、日本初の本格的な木造商業施設として2026年後半に開業を予定している。

 「渋谷マルイ」といえば、80年代~2000年初頭まで、109と並び渋谷のファッショントレンドの発信地としてにぎわっていた商業施設で、50代以上の世代には懐かしい響きを感じるが、近年は渋谷駅からの距離があることや、コアテナント不在から客足が遠のきがちであった。

 新たな施設は、地下2階・地上9階から成り、日本の伝統的な建築技術に着目して天然素材を多用していることに加え、太陽光の活用など自然由来のエネルギーを効率的に利用する方針。木造商業施設という新たなコンセプトに、どのようなテナントミックスで臨むのか要注目だ。

 (3)「トフロム ヤエス」(TOFROM YAESU)~東京駅前の大型複合施設~

 東京駅八重洲側に、地上10階建ての「トフロム ヤエス ザ フロント(TOFROM YAESU THE FRONT)」と、高さ約250m、地上51階建ての「トフロム ヤエス タワー(TOFROM YAESU TOWERT)」の二つのビルが2026年7月開業予定。

 八重洲地下街に接続しており、東京駅に直結する利便性を生かしオフィスや商業施設のほか、医療施設、劇場、カンファレンス施設、バスターミナル、高級レジデンスを構える大型複合施設となる。先行してオープンした近隣の「東京ミッドタウン八重洲」と並んで、都心部の割には雑居ビルも多く雑然とした雰囲気を有する八重洲側再開発を象徴するビルの一つとなるであろう。

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