モンテローザ・大神輝博会長兼社長に聞く 多角ブランド展開で居酒屋を活性化
日本食糧新聞「第58回 食品産業功労賞〈外食・中食部門〉」受賞 大神輝博モンテローザ代表取締役会長兼社長インタビュー
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日本食糧新聞社制定、農林水産省後援の第58回(令和7年度)食品産業功労賞の贈呈式が11月3日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで開催された。外食・中食部門ではモンテローザ代表取締役会長兼社長、大神輝博氏が受賞。大神輝博氏のこれまでの歩みと功績を追った。
●年間254店舗出店を実現 「ワタミ渡邉氏は良いライバル」
数多くの居酒屋ブランドを展開するモンテローザの代表取締役会長兼社長、大神輝博氏は1983年に同社を設立し、東京・中野に第1号店「白木屋」を開業した。当時、バブル景気と酎ハイブーム、女性の社会進出も相まって居酒屋業態は成長局面にあり、その追い風に乗って同社は出店を急拡大。98年には売上高1000億円、同社設立30年の2013年には総店舗数2000店を達成。破竹の勢いで年間最高254店舗の出店を実現した年もあり、「新店を毎日1店舗出店しているようなものだから、周囲の居酒屋企業にとっては脅威だっただろう。当時は絶好調だったから次々と増やしたが、今考えると無謀だったとも思える」と、大神氏は当時を振り返る。
実際、同社の快進撃は居酒屋業界に大きな刺激を与えた。同社は、居酒屋産業の活況を支え、居酒屋文化が成熟する立役者として存在感を示した。当時、同社と共に台頭し、居酒屋業界を盛り上げていたのはワタミの渡邉美樹氏。競合として互いに切磋琢磨し合ったワタミについて「私にとっては良いライバルだった」と、大神氏は当時を振り返る。
●居酒屋を軸に多角ブランド展開 注目しているのは「新時代」
居酒屋の活性化を促した大神氏の店舗拡大戦略で特筆すべきは、居酒屋という業態軸で多角ブランド展開を推進した点だろう。「白木屋」「魚民」「笑笑」「目利きの銀次」など、立地や客層に合わせて居酒屋という同じ業態の中で多様なブランドを提案する同社の手法は、外食チェーンにおける多角ブランド展開の一つのモデルとして定着した。さらには、近隣地域や同じビル内の複数店舗を同時に借り上げ、異なる居酒屋ブランドを出店することで地域の活性化に貢献し、多くの顧客を取り込む戦略も同社の急成長を加速させた。なお、同社の代表取締役副社長は妻の大神美津江氏が務めており大神輝博氏いわく、同社の成長は「夫婦二人三脚の成果」だ。
「サラリーマンのストレスは永遠」。そう語る大神氏は、居酒屋を「サラリーマンが日々のストレスを発散し活力を養う場」と位置づけており、格別な思い入れがある。毎夜、自社が運営する各地の店舗を回って飲食することを自身のノルマにし、「現場が一番」と、顧客視点での研究にも余念がない。「販促の工夫など、基本的なことを当たり前にできない店はだめ」と、テコ入れ策を現場スタッフに直接指導することも多く、次世代を担う人材に対する思いも強い。「店を増やし、活気があり、従業員の生活が安定すれば、おのずと人は付いてくる」というのが大神氏の考えだ。
同社は現在、31のブランドを展開しており、外食チェーンの中でもトップクラスだが、「居酒屋をやり続けるしかない、と地道に進んで、『こういう店があるといい』と増やしてきた結果がこうなっただけ。それがうちの強みともいえる」と、大神氏の姿勢は万事に渡ってシンプルだ。
最後に「現在、注目している居酒屋」について尋ねたところ「新時代」を上げ、「“安価”“直営”で成長している居酒屋は少し怖いですね(苦笑)」と明かした。
◇略歴
大神輝博(おおがみ・てるひろ)1950年1月18日生まれ、大分県出身。モンテローザ代表取締役会長兼社長。75年東京・新宿歌舞伎町にパブレストラン「モンテローザ」を開店、83年に同社を設立し、代表取締役に就任。妻の美津江氏は同社代表取締役副社長。99年に人材バンクを設立、2003年に農業生産・養鶏事業を行うモンテローザファームを設立。趣味は「マラソン」
◇モンテローザ
83年設立。「魚民」「笑笑」「目利きの銀次」など、居酒屋業態を中心に多様なブランドを展開。目覚ましい勢いで新規出店を推進し、事業を拡大。98年には売上高1,000億円、同社設立30年の2013年には総店舗数2000店を達成した。コロナ禍による苦境を経て、現在は売上高564億円(25年3月期実績)、グループ総店舗数849店舗、31ブランドを展開している(25年9月末時点)。












