2025年5月度、外食動向調査 フードコンサルティング
●前年比マイナスは4業態に
日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2025年5月度売上げは前年同月比10.8%増となり、42ヵ月連続の増加を記録した。
5月は上旬がゴールデンウイーク期間による外出機会の増加に加え、大阪・関西万博の開催やインバウンド客の増加が続いたこともあり、全体で見ると外食需要は昨年同様、好調さを維持することができた。客数は前年同月比4.9%増、客単価は5.6%増となった。
業態別で見ると、前年比を下回った業態は、3月22業態、4月16業態から5月は4業態まで減少し、いずれも2%以内のマイナス幅にとどまった。
●悪質な「ドタキャン詐欺」多発
最近、いわゆる「ドタキャン詐欺」のニュースを目にする機会が増えてきた。「ドタキャン詐欺」とは、予約を入れておきながら当日キャンセルする、あるいは事前連絡もなく来店しないなど、悪質な事例を指す。
しかしながら、昨年あたりから次のような悪質なケースが目立つようになってきている。
▽飲食店で数十人以上の予約が入ったものの、当日になって無断キャンセルされたことから、準備した料理が廃棄になった事例や、店舗を貸し切りとしていたため、ほぼ1日分の売上げを失った。
▽ケータリングで数万円分の注文が入り、指定時刻に届けに行ったものの、指定された住所の居住者は注文した人物とは別人だった。注文した人物に連絡したが、つながらなかった。
▽架空の業者を紹介され、高級酒やワインを仕入れさせられ、高額な代金を騙し取られる。
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これら「ドタキャン詐欺」の特徴をいくつか挙げると–。
(1)初めて利用する客だった。
(2)店の客単価の数倍、もしくは10万円以上など高額な予約注文を入れてくる。
(3)地元の商工団体や親睦会、医師や教師など、社会的信頼の厚いグループを装い連絡してくる。
(4)事が起きてから再度連絡するも、同じ携帯番号につながらない。
(5)不慣れな日本語を話す相手からの連絡。
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前出の特徴から考えつく防止策とは–。
▽常連客以外あるいは初めて注文する利用客の場合は、電話を一旦切って店舗側から再度掛け直す。
▽店舗の状況次第では、常連客以外の予約やケータリング注文は受け付けない。
▽一定額を超える注文の場合は、電話やメールでは注文完了とせずに、必ず来店いただき相手を確認する。
▽地元の団体の場合は、団体の代表番号に連絡し、注文者の存在を確認する。
▽予約は、注文者のマイページ登録が必要な大手グルメサイトに限定する。
こうした対策だけでは、悪質化、巧妙化する「ドタキャン詐欺」を防ぎきれないケースも生じる可能性はあるが、まずは直ちに打てる手段を講じることが「ドタキャン詐欺」対策の第一歩ではなかろうか。