2025年5月度、外食動向調査 フードコンサルティング

2025.08.04 558号 05面

 ●前年比マイナスは4業態に

 日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2025年5月度売上げは前年同月比10.8%増となり、42ヵ月連続の増加を記録した。

 5月は上旬がゴールデンウイーク期間による外出機会の増加に加え、大阪・関西万博の開催やインバウンド客の増加が続いたこともあり、全体で見ると外食需要は昨年同様、好調さを維持することができた。客数は前年同月比4.9%増、客単価は5.6%増となった。

 業態別で見ると、前年比を下回った業態は、3月22業態、4月16業態から5月は4業態まで減少し、いずれも2%以内のマイナス幅にとどまった。

 ●悪質な「ドタキャン詐欺」多発

 最近、いわゆる「ドタキャン詐欺」のニュースを目にする機会が増えてきた。「ドタキャン詐欺」とは、予約を入れておきながら当日キャンセルする、あるいは事前連絡もなく来店しないなど、悪質な事例を指す。

 しかしながら、昨年あたりから次のような悪質なケースが目立つようになってきている。

 ▽飲食店で数十人以上の予約が入ったものの、当日になって無断キャンセルされたことから、準備した料理が廃棄になった事例や、店舗を貸し切りとしていたため、ほぼ1日分の売上げを失った。

 ▽ケータリングで数万円分の注文が入り、指定時刻に届けに行ったものの、指定された住所の居住者は注文した人物とは別人だった。注文した人物に連絡したが、つながらなかった。

 ▽架空の業者を紹介され、高級酒やワインを仕入れさせられ、高額な代金を騙し取られる。

     *

 これら「ドタキャン詐欺」の特徴をいくつか挙げると–。

 (1)初めて利用する客だった。

 (2)店の客単価の数倍、もしくは10万円以上など高額な予約注文を入れてくる。

 (3)地元の商工団体や親睦会、医師や教師など、社会的信頼の厚いグループを装い連絡してくる。

 (4)事が起きてから再度連絡するも、同じ携帯番号につながらない。

 (5)不慣れな日本語を話す相手からの連絡。

     ◇

 前出の特徴から考えつく防止策とは–。

 ▽常連客以外あるいは初めて注文する利用客の場合は、電話を一旦切って店舗側から再度掛け直す。

 ▽店舗の状況次第では、常連客以外の予約やケータリング注文は受け付けない。

 ▽一定額を超える注文の場合は、電話やメールでは注文完了とせずに、必ず来店いただき相手を確認する。

 ▽地元の団体の場合は、団体の代表番号に連絡し、注文者の存在を確認する。

 ▽予約は、注文者のマイページ登録が必要な大手グルメサイトに限定する。

 こうした対策だけでは、悪質化、巧妙化する「ドタキャン詐欺」を防ぎきれないケースも生じる可能性はあるが、まずは直ちに打てる手段を講じることが「ドタキャン詐欺」対策の第一歩ではなかろうか。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら