メニュートレンド:かき氷のようなたこ焼き「氷ゃ氷ゃ」 「道頓堀 赤鬼」
大阪名物の“粉もん”といえば、たこ焼きとお好み焼き。なかでもたこ焼きは、さまざまなアイデアが新たに登場してくるワンダーランドだ。大阪市内でもたこ焼き店の多い激戦区、ミナミにある「道頓堀 赤鬼」は、基本のたこ焼きのうまさはもちろん、遊び心でも勝負しているユニークな店。夏の風物詩「氷ゃ氷ゃ(こりゃこりゃ)」を紹介しよう。(愛用食材は3面に掲載)
一見、かき氷。実は、冷たいたこ焼きという氷ゃ氷ゃ。ゴールデンウイークから9月中旬まで登場する、「道頓堀 赤鬼」のユニークな一品である。
だしはそばつゆ。その中にたこ焼き6個を入れ、上には氷が。誰もが「これたこ焼き? おいしいの?」と感じる形状だが、これが意外とイケる。熱々のたこ焼きと、徐々に薄まるそばつゆが生み出す、新しいおいしさだ。
「自分が猫舌ということもあり(笑)、『冷たいたこ焼きがあっても、ええやないか』という発想で開発しました」と社長の廣田哲彦さん。大阪人らしい遊び心から出発したメニューだが、甘さや濃さにこだわった特注のそばつゆや、つゆとのバランスを考えた氷の量など、提供する商品に手抜きはない。
発売して4シーズン目で、徐々に認知度も上がっているというが、やはり売上げの主力は、一般的なたこ焼き(6個380円)。観光シーズンには、1日1万個以上を売上げる人気ぶりで、全国のデパート催事でも好評という。
たこ焼きの具材は、タコと揚げ玉だけで、生地のうまみがしっかりと感じられるのが特徴。また、たこ焼きに塗るソースは、関西の中小メーカーの地ソースを使用し、削り節をかけて提供。マヨネーズはかけず、たこ焼き本来の味で勝負するスタイルが自慢だ。
テークアウト専門店だけに、食べ歩きしやすい商品も提案。LLサイズのドリンク(コーラ、オレンジ、ウーロン茶)のカップの上部に、6個入りたこ焼きの容器をドッキングさせた、「赤鬼セット」(580円)も人気である。ドリンクも一緒に売れることで、売上げもアップするというわけだ。
今後も、さまざまなアイデアをメニューに取り入れ、「上方お好み焼きたこ焼協同組合」(※)の会員としても、粉文化の楽しさを広げていきたいという。
※粉文化の普及と継承を目的に設立。会員数10社。フードイベントなどへの参加や、会員社のソースセットの販売も実施中(事務局=電話06・6632・1800)。
◆「道頓堀 赤鬼」(大阪市中央区道頓堀1-6-9)開業=1998年(道頓堀店舗は2001年)/営業時間=午前10時~午後10時、無休/坪数=約3坪/1日来店者数=繁忙期と週末は1000人以上、それ以外は約250人/客単価=380円/スタッフ数=4~8人/目標月商800万円